基礎課程演習の風景

基礎課程演習24 (ことばの科学入門) のご紹介

【学習目標】
 人間のことばの仕組みと働きを科学的に探究する分野である言語学の一端に触れることにより、大学の学問への足掛かりとする。また、ゼミにおけるプレゼンテーションの技能を身につける。

【授業概要】
 人間のことばを見つめ、その本質を探る学問である言語学の入門的な授業である。英語など外国語の仕組み・成り立ちにある程度興味を持っていることが望ましい。学生のプレゼンテーションを中心として進める。

英語英文学科 林 龍次郎

【基礎課程演習24のシラバス】

【第5回】2011年6月2日  学生によるプレゼンテーションの2回目です。テキスト第3話「イギリス人でも英語を間違える」と第4話「ヒトはいつからことばを使い始めたか」について第2グループが発表しました。
 第3話は、前回の第1話・第2話と関連する内容で、特異性言語障害などを扱ったものです。この障害を持った人は、他の知的能力は健常でもことばだけに障害があります。一方、ことば自体はきわめて流暢に発するのに、筋の通った話ができず、衣服の着脱や簡単な計算などもできない、という「カクテルパーティー症候群」や「ウィリアムズ症候群」なども紹介されています。これらは、前回述べた「脳の役割分担」の考え方を補強することになります。
 第4話は、ヒトのことばの起源について論じたもので、昔からこのテーマは多くの人を惹きつけてきたが19世紀ごろには珍説ばかりが提唱され、一時は学者が考えるべき問題ではないとされたことを述べています。しかし、1960年代に生得的な「普遍文法」を提唱するチョムスキーが登場して以来、新たな角度から言語の起源が話題に上るようになったこと、今後は言語学だけでなく考古学や生理学・解剖学など様々な分野との連携が言語の起源の解明のために必要になるだろうということが説明されています。
 第2グループもよく調べて発表し、他の学生と質疑応答が交わされました。


【第4回】2011年5月26日

 今回から学生によるプレゼンテーションを中心として授業を進めます。テキスト『なぜ日本人は日本語が話せるのか―「ことば学」20話』を第1話から読み、内容を検討していきます。今回は第1グループの担当です。
 この日はテキスト第1話「ある日突然ことばを失ったら」と第2話「1992年4月17日は何曜日?」が範囲でした。第1話は失語症を初めとする言語障害の問題を扱ったもので、第2話は、他の知的能力では常人に大きく劣るものの20もの言語を使いこなすという、サヴァン(知的障害や自閉症的傾向を持つがある一点に超人的な能力を有する人)の一人であるクリストファーという人物に関するものです。この2話の内容からわかることは、人間の脳の中は役割分担があるということです。たとえば、言語能力とコミュニケーション能力という、一般にはきわめて近いと思われている二つの能力も、脳の中の担当する部位は異なり、また言語能力の中でも語彙を扱うのと文法を扱うのとは脳の違う部分であると思われるのです。
 第1グループの人たちは、初めてのプレゼンテーションであるにも関わらず、よく参考文献も調べて、見やすいレジュメを作ってくれました。最後に全員に書いてもらったリアクションペーパーからは、多くの人が失語症・失読症・サヴァン症候群に関心を持ったことがうかがえました。


【第3回】2011年5月19日  この日は通常の授業ではなく図書館ガイダンスが行われました。図書館の職員の方々の丁寧な指導により、図書館に関する基本的な知識、資料検索の方法などが身についたと思います。


【第2回】2011年5月12日  今回はまず20名の受講者を4名ずつの5グループに分けました。そして、前回の受講者の記述のリストを渡しました。このリストは受講者が書いたものをランダムに列挙してあるだけなので、これを各グループで検討・分類し4項目程度にまとめるよう求めました。 各グループのまとめた結果は以下の通りです。

[第1グループ]
(1)起源と変化 (2)母国語と習得
(3)法則 (4)役割と言葉の持つ意味

[第2グループ]
(1)外国語と日本語 (2)言語の習得について
(3)起源と変化 (4)概念

[第3グループ]
(1)個々の言語 (2)人間と言葉と文化の関係
(3)言語の習得 (4)言葉の歴史

[第4グループ]
(1)言葉の変化 (2)言葉の習得
(3)言葉の概念(言葉の意義・思考) (4)人と言葉の関係

[第5グループ]
(1)文化 ―外国語、母国語、方言― (2)成り立ち
(3)ことばと人間 (4)ことばの使い方

 各グループともよく考え、ほぼ妥当なまとめ方ができていたと思います。どれが正しいということはありませんが、これらを総合してさらに私が次のようにまとめてみました。ひとつの試案です。

  [1] ことばの変化
  [2] ことばの習得
  [3] ことばと思考
  [4] ことばの使い方

 前回と今回で、受講者が言語のどのような側面に関心を持っているかがわかりました。これを踏まえて、テキストを用いた授業に入っていきたいと思います。その前に、次回は図書館ガイダンスです。


【第1回】2011年4月28日  この日が今年度1回目の授業です。
 まず20人の受講生一人ひとりに対し、入学式後1週間の感想を聞きました。新しい環境にまだ戸惑う部分があるものの、徐々に大学に慣れてきた様子が伺えました。
 次に、自分が「ことば」というもののどのような面に関心があるのかということを、全員にリアクションペーパーを渡して書いてもらいました。主な記述を以下に箇条書きで示します。

 多くの受講生がとてもしっかりした考え方、ものの見方を持っていることがわかりました。次回はこのリストを基にしてグループで考えを深めてもらいます。

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