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日本語教育(Version:3.01)
 
 日本語教育という研究分野は、他の分野と比べて歴史が浅いといえる。
多くの大学に日本語教育関係の学科や専攻が設けられたのは20年ほど
前のことである。
  日本人にとって日本語教育は、日本語を教えるという点で国語教育に
似ているし、それを外国語として教えるという点で英語教育に似ているが、
誰に教えるのかを考えると、その特徴がはっきりする。
  一般に、教育は、@誰に、A何を、Bどのように、というように考えていく
とわかりやすい。日本語教育の勉強も、@日本語を学ぶ外国人について知る
こと、A主な学習内容としての日本語について勉強すること、B方法すなわち
外国語教授理論について学ぶことが不可欠である。以下、@ABそれぞれに
ついて述べる。
 
@外国人日本語学習者について
  とくに1980年代以降著しく多様化した日本語教育では、どのような外国人が
何のために日本語を習うのかについて考えることが重要である。そのための
勉強は、日ごろからマスメディアなども活用して国内・海外の外国人日本語
学習者について興味・関心をもち理解を深めることが肝要である。日本国内や海外の
状況を概観できる書籍を紹介する。
 
○共同通信社取材班『ニッポンに生きる』2011 現代人文社
○田中宏『在日外国人 第三版』2013 岩波新書
○国際交流基金『海外の日本語教育の現状』2013 くろしお出版
 
学習者の中でも近年特に注目されているのは、子どもたちである。子どもを対象
とした日本語教育を特に年少者日本語教育と呼ぶこともある。子どもたちの言語の
問題、心の問題、周りの日本人への教育の問題、さまざまな書籍が出ているが、
その中の一部を紹介したい。
 
○バトラー後藤裕子『学習言語とは何か』2011 三省堂
○清水睦美ほか『いちょう団地発!外国人の子どもたちの挑戦』2009岩波書店
○「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会『クラスメイトは外国人』2009明石書店
 
A日本語などについて
  日本語に関する知識は研究の積み重ねも多く、優れた概説書も出ている。
日本語母語話者にとって、日本語の音声・語彙・文法に関する知識はこれまで
学んだ経験がないものである。自然に習得はしているものの、改めて説明を
しようとすると、すべてを一から学んでいく必要がある。また、狭義の日本語研究
の成果だけではなく言語行動・異文化コミュニケーションなどについても学ぶ必要
がある。ここでは、日本語教育の分野で広く読まれている本を分野ごとにあげておく。
 
(音声)
○柴谷方良ほか『言語の構造 音声・音韻篇』1981 くろしお出版
○猪塚元ほか『日本語の音声入門』2003バベルプレス
○国際交流基金『音声を教える』2009ひつじ書房
(語彙)
○森田良行ケーススタディー 日本語の語彙』1989 桜楓社
○柴田武他 『ことばの意味 1〜3』1976〜1982 平凡社
〈文法)
○野田尚史『はじめての人の日本語文法』1991 くろしお出版
○寺村秀夫『日本語のシンタクスと意味T』1982 くろしお出版
○日本語記述文法研究会編『現代日本語文法1〜7』2003〜2010くろしお出版
 
 近年、日本語研究の成果をどのように教育に生かすかというテーマで多くの論文が
書かれており、それらは日本語教育文法というジャンルを形成している。日本語学と
日本語教育学の融合は今後の重要な課題であるので、ここではいくつか参考書籍
を紹介する。
 
○野田尚史編『コミュニケーションのための日本語教育文法』2005くろしお出版
○山内博之『プロフィシエンシーから見た日本語教育文法』2009ひつじ書房
○森篤嗣・庵功雄編『日本語教育文法のための多様なアプローチ』2011ひつじ書房
○野田尚史編『日本語教育のためのコミュニケーション研究』2012くろしお出版
 
B外国語教育の方法について
  外国語教授法は、欧米からの理論が基礎になっていることが多く、「流行」
といえるほど次々に新しいものが紹介されてきた。しかし、まずはしっかりし
た概論書を丁寧に読むことによって、外国語を学ぶことや教えることに関す
る普遍的なメカニズムについて理解することが大切だ。
 
○伊藤嘉一『英語教授法のすべて』1984 大修館書店
○西口光一『日本語教育を理解する本 歴史と理論編』1995バベルプレス
○ジャックリチャーズほか『世界の言語 教授・指導法』2007東京書籍
 
これら教授法の主要なものは、以下の映像教材で実際に見ることができる。
 
○鎌田修・川口義一・鈴木睦編『日本語教授法ワークショップ 』2007凡人社
 
教授法を具現化したものが教科書であり、その研究は重要である。初級に絞って
みても、教育理論や習得研究の知見を生かして、さまざまな教科書が出版され
続けている。とくに自分の興味のある日本語教育の分野でポピュラーな初級日本語
教科書を詳しく調べてみることは有益であろう。
 
  研究の視点を教える側から学習者に向けてみる。近年、第二言語習得研究
という分野では、読みやすい概説書がたくさん出版されている。その一部を
ここに紹介したい。
 
○白井恭弘『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』2008岩波新書
○大関浩美『日本語を教えるための第二言語習得論入門』2010くろしお出版
○パッツィ・M.ライトバウン他『言語はどのように学ばれるか』2014岩波書店
 
最後に、定期刊行物や文献索引、用語集を紹介する。
 
 (定期刊行物)
○日本語教育学会『日本語教育』
○社会言語科学会『社会言語科学』
○第二言語習得研究会『第二言語としての日本語の習得研究』
○日本語/日本語教育研究会『日本語/日本語教育研究』
 (文献索引)
○日本語教育学会『日本語教育 100号記念号』1999
 [創刊40年以上になる学会誌に載った論文や実践報告などの タイトルが
  すべて整理されており、日本語教育の研究領域を知るのに便利]
○国立国語研究所編『日本語教育年鑑』2008
○日本語教育学会HP 学会誌 検索エンジン
(用語集)
○日本語教育学会編『新版日本語教育事典』2005 大修館書店
   [これは最新のものであり、日本語教育の全体を知るのには有益である]
○日本語教育学会編『日本語教育ハンドブック』1990 大修館書店
  [やや古いが、上記の事典よりは実践的である点に特徴がある]
 
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