「つながりと再生 −福島県いわき市でのNPO法人の取組から−」 講演会のご報告

2016年1月12日(火)開催
東日本大震災復興支援会議/人間関係学科共催

 福島県いわき市のNPO法人ザ・ピープル代表吉田恵美子さんをお迎えして、講演会「つながりと再生‐福島県いわき市でのNPO法人の取組から−」を開催しました。多くの学生、教職員、同窓生が参加しました。

 約25年前、吉田さんは市の海外視察のメンバーに選ばれ、海外のごみ処理やリサイクルの先進事例を学びました。帰国後、学んだことを社会に還元しようと、視察にいったメンバーと一緒にザ・ピープルを立ち上げました。主な活動として古着リサイクルを行い、住民主体のまちづくりをめざしていました。
 東日本大震災後は、御用聞きスタイルで救援物資の配布、自炊による炊き出しなど、行政ができない支援の方法で避難所支援をしてきました。特に2012年から「ふくしまオーガニック・コットン・プロジェクト」を立ち上げ、いわきの被災者、避難者、地元住民の交流をはかり、人と人の心をつなぐ活動をしています。

 ご講演では、いわきの現状とその特有の課題、活動から見えてきたこと、その他に水俣との交流から学んだことなどについてお話しいただきました。お話のすべてが、そして、一言ひとことが、深くこころに残り、参加者全員にとって、自分に何ができるかを考えるきっかけになりました。

人間関係学科 教授 大槻 奈巳

受講生の感想 (2年次生)

 東日本大震災から5年が経つという年月の中で、私たちは東京で生活をしているためもあり、被災地が現在どのような状況なのかということを考えることが少なくなってきていると感じていました。
 吉田先生の講演で、被災者というとボランティアを受ける側だと思いがちになり、自らが動き出そうという意欲が失われてしまうと思い、オーガニック・コットンプロジェクトなど、農作業を通して人々とのつながりを築こうとしたというお話をお聴きし、一人ひとりが今いる状況の中で何が出来るかということを考えなくてはならないのだ、と感じました。


 もう5年ととらえるべきか、まだ5年ととらえるべきか、いずれにしても表面的には進んでいるように見える復興も、実はまだまだ進んでいないという現状がわかりました。特に人と人との関係の問題はとてもデリケートで難しい課題だと思いました。
 そんな中で、福島オーガニック・コットン・プロジェクトは、人と人を繋ぐ、とても大きな役割を果たしていると感じました。日本各地の人々が関わることで絆を深めるというだけでなく、東日本大震災という出来事を風化させない働きをしていると思いました。


 「放射能の影響があるかもしれないコットンを使った服は子どもたちに着せられないという誤解、風評被害もあったと伺いましたが、それについてはどのようにお考えでしょうか」という質問がありました。吉田先生からは、そのような誤解とか風評被害も想定内であること、女性に人気のお店が置いてくださったことから少しずつ理解を得るよう進めていっている、というお答えがありました。
 誤解や風評被害に、ただ「どうしよう」と焦るのではなく、長期的視野を持って、ゆっくり進めていこうという姿勢が素晴らしいと感じました。


 ご紹介いただいたオーガニック・コットンの動画に感動しました。たくさんの人たちの思いがつまっていて、素晴らしい自然と、人と人が心を通いあわせているこのプロジェクトに胸を打たれ、自分も参加したいと思いました。
 また、行政だけではできないことを、私たちがやっていく大切さを知りました。大学生の私たちだからこそ出来ることがたくさんあることを、今日のお話から分かりました。


 私は聖心女子大学に入学してから東日本大震災について考えることが多くなりました。というのも私は長崎県出身なので、この震災を身近に感じておらず、3.11の日も何事もなかったかのように普段どおりの生活をしていたからです。上京して聖心に入学してから、東日本大震災の話を聞くようになり、周りの人がボランティアに行っていることを知って、他人事で済ませてはいけないと思うようになりました。
 今日のお話を聞いて、いまだに仮設住宅に住んでいる人や、元は同じ地域の人が別々の集会所になってしまうことで、地域の人が一緒に皆で再建していこうということが難しい現状があることも知り、今だからやらなくてはならないことが見えてきました。
 吉田先生のように以前から行動に移している方のお話を伺い、私はまだ何もしていないこと、大学生だからこそできることを知り、私も私ができることを行動に移そうという気持ちになりました。


 私は福島県民です。吉田先生のおっしゃる通り、被災地・被災者だからという甘えや諦めのようなものが残っていると思いますし、逆にこのままではいけない、自らが進んで復興に向けて行動していかなくなくてはならないと思いました。周りの方々からも「やってあげる」だけでなく、被災地の自立のためのサポートが必要だと感じました。
 「〜学ぶ」とよく言われますが、5年経った今、風化を感じます。しかし、いまだに苦しんでいる人が大勢います。吉田先生たちのこの活動が、5年経った今でも苦しんでいる方々の心を救うきっかけになっていると思います。
 私も同じ福島県民として、何かアクションを起こしたいと思いました。


 すごく考えさせられるお話でした。ありがとうございました。私は大地震があっても皆さんのように行動できないし、自分達はボランティアを受ける立場だと思ってしまうと思います。
 実際に自分でも福島の作物は少し怖くて避けていますし、自分が子どもを産むまではとりたくないような気がします。申し訳ありません。
 しかし、吉田先生のお話で、食べ物じゃなければコットン、ということが素晴らしい発想だと思いました。お話を伺いながら「コットンなら」と考えている自分に気付きました。例えば女子大生がプロデュースするなどして「かわいい」と声に出すような商品なら喜んで購入すると思います。
 大槻先生もおっしゃっていたように「ほら、被災地で作ったものだから」といった考えでは一切なく、現実的で全て現地の方々に還元できるようにされているところは、すごいと思いました。


 「被災者」という言葉で、皆が同じようにとらえられることが多いが、津波や地震、原発など、一人ひとりが受けた被害に違いがあり、そうした方々が避難した場所で一緒に暮らすことの難しさが分かりました。
 水俣病のお話が最初はどう関連しているか分からなかったのですが、異なる被害(水俣病と風評被害など)を受けた人々の中での壁が、いわき市にも共通していることが分かりました。
 吉田先生のお話を聞き、人の気持ちは複雑で、避難が必要といわれても気持ちは簡単には切り替えられないこと、被災地では精神的な支えも多く求められているのではないかと思いました。


 仮設住宅に住む方が、ようやく10万人を切ったことを初めて知りました。同時に、いまだに10万人近い方々が仮設住宅にお住まいになっていることにショックを受けました。
 当たり前に出来ていたことが出来なくなる悲しさ、恐ろしい失望感に襲われている被災地の皆さんを思うと、非常に心が痛みました。学生である私ができることもたくさんあることを知りましたので、今からでも遅くはないと信じて、活動をしたいと思いました。



arrow 講演の告知ポスター(クリックするとpdfで拡大します)

arrow (2015年10月31日) オーガニック・コットン・プロジェクトに実際に参加した学生からのご報告はこちらをクリック

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