聖心女子大学

人間関係学科の特色ある取り組み

(聖心キャンパス第159号(2004年7月発行)より転載)

 大学生活の締めくくりである卒業論文。人間関係学科ではこの卒論の指導に従来から力を入れてきました。それぞれの学生が問題意識を鮮明にし、自らの疑問に答えを出すためフィールドワークや質問紙調査などに取り組みます。研究テーマは様々です。街を歩き回り道端で装飾品を売っている若者たちの声を集めたり、子育てサイトを利用して育児に悩む母親たち数千人を対象に調査を行ったり、それぞれの道の著名なプロフェッショナルたちにアポイントを取りその仕事や人生についてインタビューを試みたり。ユニークな研究もたくさんありますが、いずれにせよ各自、相当な時間や労力や精神力をかけて大学生活最後の課題に取り組みます。そうやって得られた結果は学問的資料として価値があるばかりでなく、過去の自分を総括し、将来の方向性を考える上で重要なきっかけになることも少なくないようです。

 しかし、こうした学生たちの成果は広く公開される機会が無く、せいぜい二十数名程度のゼミの中で発表会が行われるだけでしたが、昨年度からは専攻全員が参加する卒論報告会を実施することにしました。かと言って、五十数名の学生が一人一人発表するのは時間的に無理があります。そこで、今回はポスター形式で発表を行うことにしました。ポスター発表とは一部の学会などでよく用いられる形式ですが、基本的に発表用の資料をパネルに貼りつけてその前に立ち、興味を持って立ち寄った「お客さん」に立ち話の状態で説明をするというものです。一度に多くの人を相手にはできませんが、顔を合わせながらじっくりと意見交換ができる点がメリットです。今回の卒論発表会では、聖心祭などで使うベニアのパネルを利用し、個々人が工夫を凝らしたポスターを貼りつけて他の学生や教員に内容を説明しました。発表は一度に20名づつ、3交代、一人80分かけて行いました。発表会に参加した者は発表者の他、人間関係の教員全員と同専攻の2、3年生の大部分の総勢百数十名でした。
 
 初めは学生同士、卒論の話は適当に切り上げ雑談に興じてしまうことも懸念したのですが、予想に反してそうした様子はほとんどなく、下級生との間でも活発な意見交換が行われていました。来年、再来年に卒論を書く学生にとって4年生の発表は見習うべきモデルになり、「そうか私たちも卒論をがんばろう」という意識を持てたようですし、4年生も自分の研究を真剣に聞いてくれるギャラリーがいたことで充実感を持てたようです。

 実際、学生数の多いマンモス大学の場合、最近はゼミも行われていないところが多いようです。もちろんそうした所では卒論も選択制です。また、卒論があっても学生数が数十人というゼミでは教員も十分な指導が出来ません。従って、勢い卒論は簡素で形式的なものになりがちで学生の負担は軽くなります。そうした大学に比して、聖心女子大学では卒論に費やす労力は極めて多いものの、それでも卒業時には口を揃えて卒論を書いてよかったと言ってくれます。4年生という就職活動の忙しい時期の中ではありますが、それでも充実して過ごせた時間と出来あがった論文に対して誇りが持てるようです。
 そんな学生たちに発表の場を与えられることは教員としても幸せに感じています。

教授  菅原 健介


熱心にポスターを読む学生たち



質問責めに会うのもうれしいものです


説明にもつい力が入ります


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