●科学研究費による研究の成果

◆日本における同一価値労働同一賃金原則の実施システムの構築 -男女平等賃金に向けて-
基盤研究(B)(2006-2008年)(課題番号:18310168)
研究代表:森 ます美 昭和女子大学・生活機構研究科・教授
○研究の概要:科研費データベース

◎森ます美、浅倉むつ子編著2010年『同一価値労働同一賃金原則の実施システム―公正な賃金の実現に向けて―』有斐閣を刊行しました。
・大槻奈巳2010「医療・介護4職種の職務の価値と賃金」森ます美、浅倉むつ子編著『同一価値労働同一賃金原則の実施システム―公正な賃金の実現に向けて―』有斐閣, pp.35-48.
・大槻奈巳2010「施設介護職員とホームヘルパーの職務の比較と賃金」森ます美、浅倉むつ子編著『同一価値労働同一賃金原則の実施システム―公正な賃金の実現に向けて―』有斐閣, pp.59-7.

論文の解説

 「同一価値労働同一賃金原則」の考え方にもとづき、施設介護職員とホームヘルパーの職務比を行い、賃金の是正額を提示した研究です。「同一価値労働同一賃金原則」はもともとイギリスやアメリカで男性と女性の賃金の是正をするときに用いられる考え方です。男性と女性の賃金に差がある場合、同じ職種内の違いだけでなく、異なった職種間の違いがあります。同じ職種内における男女賃金格差の違法性の指摘は比較的立証しやすいのですが、職種間の賃金の違いは、男性が多くを占める職種と女性が多くを占める職種の賃金の違いであることが多く、女性が多くを占める職種の賃金が、男性が多くを占める賃金より低い状況がありました。
 しかし、異なった職種における賃金の差の違法性をなかなか指摘するのは難しい状況がありました。この状況を是正するために、職種は異なるとしても、仕事の価値をはかる共通の指標にもとづいて仕事の価値を算出し、仕事の価値にもとづく賃金を支払うべきであるという考えが導入されました。それが「同一価値労働同一賃金原則」です。
 現在、日本においても、男性が多く占める職と女性が多くを占める職の是正と共に、正規従業員と非正規従業員の賃金の差の是正として現在、注目されています。しかし、日本で「同一価値労働同一賃金原則」の視点にたった実証研究は1990年代に行われた商社の分析しかありませんでした。今回、政策的にも賃金の是正が重要視されているホームヘルパーに関して、施設介護職員と職務の価値をはかり、それにもとづく是正賃金の額を出すことができました。単に、賃金をいくら上げるべきだというスローガン的なものではなく、職務分析にもとずく客観指標にたった賃金額を提示できたことは大きな前進であったと考えます。また、「同一価値労働同一賃金原則」にもとづいた職務評価、賃金の算出は、イギリスやアメリカと日本は賃金体系が異なるので、日本ではできないといわれがちでしたが、日本の賃金体系でも職務評価ができることを示すとともに、その実際の方法を開発・提示したことも大きな貢献であったと考えています。

◎論文を書きました。
・大槻奈巳2010「介護職の職務評価と同一価値労働 同一賃金原則に基づく是正賃金について」『るびゅ・さあんとる』NO.10社団法人東京自治研究センター, pp. 10-16.

◎報告書『介護職の賃金改善をめざして-同一価値労働同一賃金原則のアプローチから-』に執筆しました。
・大槻奈巳2009「職務評価の実施と同一価値労働同一賃金原則の基づく賃金の是正について」『介護職の賃金改善をめざして-同一価値労働同一賃金原則のアプローチから-』東京自治研究センター・介護労働研究会, pp.10-18.

◎2010年4月フェミニスト経済学会(大阪府立大学)の共通論題報告として成果を発表しました。「介護職の職務評価:職務の価値と賃金」テーマ「ケア労働の諸相―ケアの危機の第2局面に際して」

◎2009年11月日本労働社会学会(佛教大学)のシンポジウム「介護労働の多面的理解」の討論者として成果を発表しました。

◎2009年5月24日(日)社会政策学会第118回大会(日本大学)で成果について発表しました。


◆若者のキャリア形成過程におけるジェンダー格差の国際比較-労働、教育、家族政策より

基盤研究(B)(2006-2008年)(課題番号:18402035)
研究代表:岩上真珠 聖心女子大学・文学部・教授
○研究の概要:科研費データベース

◎2010年9月日本社会学会(関西大学)で「若者の稼ぎ手役割意識の揺らぎ」として報告しました。

◎2009年10月12日本社会学会 ポスターセッション「若年者の家族・キャリア形成に関する国際比較研究」を共同で発表しました。

○国立女性教育会館 酒井計史、聖心女子大学 岩上真珠、上智大学 岡本英雄、放送大学 宮本みち子、早稲田大学 土屋淳二、聖心女子大学 大槻奈巳、国立女性教育会館 渡辺美穂、労働政策研究・研修機構 平田周一

◆現代の育児環境に関する国際比較研究 -日・韓・泰・米・仏・瑞の6ヵ国調査の細分析-
基盤研究(B)(2007-2008年)(課題番号:19330104)
研究代表:大槻奈巳 聖心女子大学・文学部・准教授(2008年度)
     舩橋惠子 静岡大学・人文学部・教授(2007年度)
○研究の概要:科研費データベース

◎牧野カツコ、渡辺秀樹、舩橋惠子、中野洋恵編2010年『国際比較に見る世界の家族と子育て』ミネルヴァ書房を刊行しました。
・大槻奈巳2010「世界の親が子どもに期待すること」牧野カツコ、渡辺秀樹、舩橋惠子、中野洋恵編『国際比較に見る世界の家族と子育て』ミネルヴァ書房, pp.90-97.
・大槻奈巳2010「なぜ日本の親はよい成績を期待しないのか」牧野カツコ、渡辺秀樹、舩橋惠子、中野洋恵編『国際比較に見る世界の家族と子育て』ミネルヴァ書房, pp.98-107.
・大槻奈巳2010「男の子らしさ女の子らしさを期待される国」牧野カツコ、渡辺秀樹、舩橋惠子、中野洋恵編『国際比較に見る世界の家族と子育て』ミネルヴァ書房, pp.113-115.

◎2009年9月14日 日本家族社会学会 ラウンドテーブル「国際比較調査をどう読み解くか ―家庭教育6か国比較調査を行って―」で報告しました。

◎2009年6月27日(土)福島県いわき市「福島県男女共生のつどい」いわき大会で報告しました。

◎論文:大槻奈巳, 2008「親は子どもに本当はなにを期待しているのか:男らしく女らしくの期待から」
  『国立女性教育会館研究ジャーナル』Vol.12: 83-93.
   
◎2008年11月6日70th National Council on Family Relations Annual Conference で発表。
“Japanese Families in Transition:Results of Six-Country Comparative Research”
70th.Annual Conference, National Council on Family Relations, Symposium
Little Rock AR, U.S.A. Nov. 6, 2008.
1. ○Katsuko Makino, “Recent Family Changes and Child Care in Japan: An overview of six-country comparative research”
2. ○Takashi Fujimoto, Hideki Watanabe, “Changing Family Norms in Six Countries”
3. ○Kazufumi Sakai, Nami Otsuki, Sae Etoh “Factors Affecting Japanese Fathers’ Participation in Child Rearing: Comparison with Korean and US fathers”
4. ○Keiko Funabashi, “Managing the Balance between Child Rearing and Work: Father’s attitudes in Japan, Sweden and the U.S.A.”

◎報告書を和文と英文で2007年に作成しました。和文タイトルは『平成16年度・17年度 家庭教育に関する国際比較調査報告書』、英文タイトルは”International Comparative Research on "Home Education" 2005 -Survey on Children and the Family Lifeです。

大槻奈巳2007「子どもへの期待」「子どもの将来への期待」独立行政法人国立女性教育会館『平成16年度・17年度 家庭教育に関する国際比較調査報告書』pp.98-118.
(=“Expectations for Children” “Expectations for Child’s Future ”International Comparative Research on "Home Education" 2005 -Survey on Children and the Family Life, National Women’s Education Center of Japan, pp.105-115, 2007.

◎2007年11月8日69th National Council on Family Relations Annual Conference で発表(ポスターセッション)。

NCFR写真1  NCFR写真2

“International Comparative Study on Father’s Child Care”
69th Annual Conference, National Council on Family Relations Poster Presentation
Pittsburgh, Pennsylvania, U.S.A., Nov.8, 2007
MAKINO Katsuko, FUNABASHI Keiko, WATANABE Hideki, NAKANO Hiroe, OTSUKI Nami,SAKAI Kazufumi, FUJIMOTO Takashi, ETOH Sae

◎2007年9月9日第17回大会(札幌学院大学)日本家族社会学会国際セッションで発表。
「日本の子育ては何が問題なのか:『家庭教育に関する国際比較調査』(国立女性教育会館2005)のデータから」(共催 国立女性教育会館)
司 会 舩橋惠子、中野洋恵
報告者
(1)大槻奈巳「親は子どもに本当は何を期待しているか」
(2)藤本隆史「親は何を悩んでいるのか」
(3)酒井計史「父子の親子時間と父親の子育て(参加と態度):日本と韓国を中心に」
(4)江藤双恵「タイの子育て:10年間の変化を考える」
討論者 牧野カツコ、渡邊秀樹