聖心女子大学

「伝統と発展」「場所の精神」を学ぶゼミ研修(異文化間コミュニケーション演習I)

 梅雨明け日となった7月19日(日)、異文化間コミュニケーション演習Iのメンバーが千葉県野田市への日帰り研修へ行ってきました。訪問先は、キッコーマン社の醤油工場(もの知りしょうゆ館)、国の名勝に指定された高梨家庭園および住宅(上花輪歴史館)、野田市郷土博物館です。夏休み中に日本留学を終える本学の交換・短期留学生の中からも、希望者3名がゼミ生と共に参加しました。

2015年7月19日 実施  指導教員 岡橋純子 (国際交流学科 准教授)

 「伝統と発展」「場所の精神」の観点にもとづき、数世紀にわたり今日に至るまで地域を活気づけてきた醤油産業がなぜここの地で発展したのかを考え、日本の食文化の要でもある醤油づくりを体験し、醤油産業の担い手が地域の有形・無形の文化遺産形成にどう影響してきたかを知ることが、この日の野田研修の目的でした。
 朝、野田市の駅を降りると、まろやかな大豆のにおいがしました。そして夕方まで、皆で猛暑の中よく歩き回りました。この日は夏祭りだったらしく、旧家のお玄関には晴れやかな飾りが施されていました。



< 学生の声 >


「キッコーマンしょうゆ工場では、もの知りしょうゆ館だけでなく特別に御用蔵も見せていただいたことで、しょうゆの歴史や伝統的製造法をより深く学ぶことができました。実際にしょうゆ作りを体験することで、しょうゆができるまでの過程を楽しく、分かりやすく理解でき、良い経験をさせていただきました。」


「醤油醸造が野田で栄えた理由についての説明は印象的でした。ただ大豆がとれたから、塩がとれたから、というのではなく、水運の便や、当時江戸から旅行をしようとした人の期待とそれにこたえた巡礼興行や醸造家の商才がうまく作用して野田に根付いた、というまるでパズルのような文化の出来上がり方に感動しました。様々な要因が絡み合い現代まで残る文化になる、という点が非常に興味深かったです。」


「もろみの熟成の様子や、しょうゆの色や味、そして香りの違いなどを、ただの説明だけではなく、五感に響くような展示と、実際の体験を通して理解をすることができ、とても勉強になりました。また、係りの方が大変ご親切に対応して下さり、快適に過ごせました。歴史的背景や醤油の製造過程を肌で感じることができました。」


「高梨家庭園では、庭園の様式や部屋からの見え方を考慮した石の置き方など、洗練された要素がたくさん見られました。庭以外にも、二畳の床の間や珍しい柱の組み方といった貴重な造りも見ることができて面白かったです。毎年少しずつおこなう細やかな御簾の修理について、技術的に容易でない円柱組みの維持など、材料や技術に関する課題や努力についてもうかがうことができ、有意義な研修となりました。」


「名勝指定された高梨家庭園と住宅では、保全にどのように取り組んでいらっしゃるのか、またそれを受け継いできたことの意義について、高梨家ご当主の奥様や学芸員の方が丁寧にご説明してくださったのが印象的でした。静かで緑豊かな庭園を見ながらいただいたお抹茶の味は、奥様とスタッフの方の優しさと共に心に深くしみわたりました。地域の発展に尽くしてきた産業や文化を体験したことで、より地元に対して詳しく知りたいと思うようになりました。」


「文化財の保全や継承についてはこれまでも授業を通して学んできましたが、高梨家住宅では、古文書の整理から改修を実行に移すまでの所有者の真心や責任感に感銘を受けました。どんなに保全の技術や法律があっても、それを継承し実行するためには個人の意思や選択によると気付かされました。その財に込められた価値を知る者だけがおこなえる、保全精神に基づいた丁寧なケアについて、間近に感じられたと思います。」

close