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人文学専攻(博士後期課程)

人文学とは、言語・文学・思想・芸術などを通して人間の本質に迫る学問である。本専攻では、研究領域として、【英語・英文学】【日本語・日本文学】【哲学・美学】【史学】の4つの柱を立てている。【英語・英文学】では、英語を対象とした言語学である英語学や英米を中心とした英語圏の文学、【日本語・日本文学】では、日本語学、外国人に日本語を教える日本語教育学や古典から近現代までの日本文学、【哲学・美学】では、哲学・思想史やキリスト教学、美学・芸術学、【史学】では、日本・東洋・西洋の政治・経済・慣習などの歴史を対象とした歴史学などの領域について、各専門科目の授業を通じ、それぞれの方法論や問題意識にのっとって個別の研究を深めていく。

しかし、この4つの研究領域は、さまざまな問題を共有しながら互いに密接な関係を有してもいる。そこで、個々の専門科目とは別に、学際的な研究に主眼を置いた「人文学特論」の授業も多数設置している。

また、「人文学共同演習」の授業は、研究分野の異なる複数の教員が担当し、分野の垣根を越えた指導を行うことで、各分野での研究成果の融合、学際的分野の開拓、という本専攻の特色をよく表したものとなっている。

この授業においては、学年を問わず全員に研究発表が義務付けられており、高度な専門性を維持しつつ、他分野の教員や受講生にもわかりやすい発表への工夫が求められる。一方、そこから与えられる他分野からの批評は、発表者にとって新しい発想のヒントとなり、研究進展の大きな刺激となっている。

また、授業の中では、各分野のトップレベルの研究者をはじめ、本専攻を修了して博士号を取得した研究者を招いての講演会も行われており、最先端の研究内容や、博士論文執筆の具体的な方法についての知識を提供するなど、さまざまな面で各自の研究を推進する役目を果たしている。

なお、博士論文の執筆に向けては、「人文学論文演習」が用意されており、各自の指導教員による定期的な指導・助言が保証されている。

こうしたカリキュラムの成果を踏まえ、本専攻では設置以来、優秀な博士論文が提出されており、修了生の多くは、高校・大学の教員として活躍している。

研究分野・領域

英語・英文学領域

  • “Shakespeare in Pre-Raphaelite Millais: Millais’s Fidelity to Shakespeare’s Texts in Ferdinand Lured by Ariel(1849-50), Mariana(1850-51) and Ophelia(1851-52)”
  • “Where Is the Merchant Good, and Where the Grasping Jew?: A Pragmatic Literary Stylistic Analysis of The Merchant of Venice”
  • “Anna Barbauld’s Invention of New Literary Spaces”
  • “J.M.W.Turner’s Juliet and Her Nurse (1836) as a Pictorial Adaptation of Shakespeare: Juliet at a Venetian Balcony”
  • “‘I, and my fellow melted into butter’ : the imagery of “butter” in Ben Jonson’s The staple of news (1631)”
  • “From Old to New Ovidianism: The Ekphrasis in The Faerie Queene, Venus and Adonis and The Rape of Lucrece”
  • “Another “Fellow of Infinite Jest”: Translating Mercutio’s Mercurial Language”
  • “The Wolf and Its Associations in Natural Historical Narratives, 1590-1620”

日本語・日本文学領域

  • 「三島由紀夫文学に内在する論理と作家像の形成―一九四九年及び一九五〇年代前半に焦点を絞って―」
  • 「「格」の日本語学史的研究―江戸期蘭文典から鶴峯戊申『語学新書』へ―」
  • 「『源氏物語』頭中将とその一族の《系譜》考」
  • 「江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』論―〈消極的社会運動〉としてのエロ・グロ・ナンセンスに見る乱歩の〈新しさ〉―」
  • 「光源氏・浮舟をシテとする能の研究 ―『源氏物語』との対比から―」
  • 「近代日本女性書簡文の研究」
  • 「古代庭園と物語―『源氏物語』の「ニワ」へ―」
  • 「『日本紀竟宴和歌』論―日本語史資料として―」

哲学・美学領域

  • 「河井寛次郎の制作と思索」
  • 「謡曲『石橋』の総合的研究」
  • 「ベルクソン哲学における「揺れ(oscillation)」―持続との関連で見るその発展的機能―」
  • 「ブランシュヴィックにおける存在と判断:エゴイスムの手前で立ちどまる知性」
  • 「ジュール・ラニョーの知覚論:精神と身体を統合する判断の能動性」

専任教員の研究領域

専門は中古文学で、源氏物語を中心とした物語文学を主な対象としています。とりわけ、婚姻をテーマに研究を行ってきました。作品の背景としての歴史的実態を押さえつつ、それをもとに物語の虚構性や各作品の魅力を浮かび上がらせることを目指していきます。

初期近代イギリスの戯曲等を歴史的文脈の中で捉え、文化的記憶における表象型の伝達のダイナミクスについて考察しています。19世紀以降の創作おとぎ話の役割や、翻訳の諸問題にも関心があります。

近世ヨーロッパの哲学者たち、具体的にはホッブズ、デカルト、スピノザ、ライプニッツ等の哲学を主たる研究対象としている。「科学革命」と「市民革命」の始まりの時代に彼らの哲学がいかにして私たちの知る「西洋近代」の誕生に関わり、しかもそれを超える「ポスト・モダン」的な思考の可能性を宿していたかを探っている。

日本語教育学。談話レベルの文法研究や語彙の研究を行ってきました。現在の興味は、教育に貢献しうる言語研究とはどういうものかということです。具体的には、自治体のお知らせ・看護師国家試験・若者の雑談などを形態素解析して、文法や語彙を抽出しています。

専門は日本近現代文学で、明治・大正期が中心です。とくに森鴎外とその文学に関する研究を多く手がけてきました。大学院の授業では、物語論(ナラトロジー)、パロディ論、フェミニズムなど、今日の文学研究の前提となる諸理論を毎年とり上げています。(「鴎」という漢字はJISコード外のため当て字を表示しています)

専門は、トマス・アクィナスを中心とする西洋13世紀におけるキリスト教神学・哲学、アリストテレス哲学の受容。 関連してギリシア哲学、倫理学全般、生命倫理学など。

専門分野は美学芸術学。美しさの体験と芸術制作とをそれぞれ価値の体験とその実現との典型と見なし、これが哲学的に妥当するかどうか、価値論的考察を基に思索する。その際、現実的世界の中で生きはたらく主体的自己存在者がどのように自らの置かれた場からはたらきかけを受け、場に対してはたらき返すか、その仕組みを問いつつ、美と芸術との内的連関を模索してゆく。

第二言語習得研究について幅広いテーマを扱っています。特に個人差、学習者要因、語用論的発達、L2ライティングに興味があり、気づきとアップテイク、フィードバックの効用について研究しています。

芸術作品の創作における作者の個的実存のあり方や、芸術的現象と共同体との関係を研究対象とした、美学・芸術学。特にガブリエル・マルセルを中心とした、20世紀フランスの実存思想・演劇論の研究。

日本近現代文学のうち、昭和前期の文学を考察の中心に置いてやってきました。作家研究よりも作品の読み方に主眼を置いたアプローチを大切にしたいと考えています。そして、授業では、読む、という作業をいかに語る、伝えるという行為に繋げていくか、を考えてもらいます。

古代日本語の文法システムが現代語とどのように異なるか、どのような過程を経て変化してきたかを明らかにしようとしています。資料を精密に読解し適切に利用すること、問題設定・論証・結論が整合的かつ合理的であることに留意して、研究および学生指導を行っています。

フランス第三共和政期の同化ユダヤ人哲学者やその周縁の社会活動家たちの動向を中心に、社会的課題における哲学的・宗教的実践について研究している。

専門は現代日本語の語法・文法の研究です。身近な日本語の中の様々な言語現象に注目し、そこに見られる法則や類似する他の言語現象との異同を解明したいと考えています。

主として19世紀、20世紀のイギリス小説を研究しています。感情の動きや意識の変容が織りなす他者表象を、衣食住等の細部描写の文化的意味、自然との交感等を視野に入れて追究しています。

日本倫理思想史。日本の宗教思想における宗教と倫理の関係のあり方、神仏の捉え方や信仰心についての研究。特に近代日本のキリスト教信仰の諸相、それらにおける在来思想・信仰の位置づけについて。

英語の文・単語・意味などの構造的側面を研究しています。現代英語の記述的研究とともに、人間が無意識のうちに持っている言語知識の一般的性質を明らかにする理論的研究に関心があります。

近世文学のうち、俳諧の研究をしています。特に、芭蕉前後から蕪村に至るまでの、江戸初期から中期にかけてが専門です。典拠や挿絵、句の配列など、さまざまな観点から作品の趣向を考えるとともに、作者の交友関係や実際の興行形態など、当時の俳諧の実態を明らかにしようとしています。

アイルランドの作家James Joyceの最後の作品Finnegans Wakeの着想から完成に至るテキスト生成過程を人文情報学の手法で研究しています。その成果はFinnegans Wake Genetic Research Archiveという電子アーカイヴにまとめています。

古代末期のローマ帝国において、キリスト教思想家たちがどのようにギリシア・ローマの思想に向かい合い、自らの思索を発展させていったのかについて、思想史的観点から研究を行っている。

19世紀以降を中心に、詩人の生涯と詩作との関係、映画に引用される詩の意義、詩に出会う場としての映画を考察しています。またアメリカの移民作家をはじめ、記憶の継承というテーマにも関心があります。

開講科目

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博士論文題目

年度(修了生)題目
2021(令和3)年度
  • ドゥルーズのスピノザ論におけるエソロジー的側面の考察 ――「生の規範」の解釈を通じて――
  • ジャン・ヴァールの思想における「実存」の「超越」  ――経験に下降する形而上学――
  • Translated, Embodied, and Performed: The Language of Shakespeare's Heroines in Japanese
2019(平成31)年度
  • ジュール・ラニョーの知覚論:精神と身体を統合する判断の能動性
  • The Wolf and Its Associations in Natural Historical Narratives, 1590-1620
2018(平成30)年度
2017(平成29)年度
2016(平成28)年度
2015(平成27)年度
2014(平成26)年度
2012(平成24)年度
2010(平成22)年度
2009(平成21)年度
2008(平成20)年度
2007(平成19)年度
2006(平成18)年度