聖心女子大学

第24回 「佐藤栄作賞」優秀賞受賞 (2008年7月)

 このたび本学国際交流専攻4年の赤松直美さんが、「佐藤栄作記念国連大学協賛財団」主催の第24回「佐藤栄作賞」論文コンテストで、見事優秀賞の栄誉に輝きました。「佐藤栄作記念国連大学協賛財団」は、かつてノーベル平和賞を授与された故佐藤栄作元首相が、世界の平和と福祉のためにと、そのときの賞金を基に設立した財団です。
  「佐藤栄作賞」論文コンテストは、同財団の事業の一環として毎年実施されているもので、今年度のテーマは「地球環境を改善する国際枠組みと国連の役割」でした。赤松さんは、極めて多数の応募作品の中から、社会人研究者(中小企業基盤整備機構勤務)や大学院在籍者(筑波大大学院博士課程)と肩を並べて、学部学生では一人だけとなる堂々の優勝でした。(聖心女子大学歴史社会学科国際交流教授 関場 誓子)


【論文概要】

(2008年7月掲載) 報告者:国際交流専攻 赤松直美

「6つのシナリオからみる『地球温暖化問題』」
 1936年、世界が第二次世界大戦へと移行していく中、チャーチルは次の言葉をイギリス国民に語りました。「先送りや生半可な対策、聞こえの良いよくわからない急場しのぎ、遅延の時代は終わりつつある。その代わりに私たちは、結果の時代に入りつつあるのだ。」
 2008年、私達も長い間の経済発展の末に、「地球温暖化」という結果の時代に入りつつあります。20−30年以内に地球の命運が決まるといわれているこの問題に対して、はたして先送りや生半可、急場しのぎ、遅延ではなく、「実効性」のある対策を講じることができるのでしょうか。
 
  この度の佐藤栄作賞で、私はこの「地球温暖化問題」に焦点を当て、実効性ある対策を講じるための国際枠組みと国連の役割について論じました。果たして、現在の国際枠組みは実効性があるのでしょうか?そして国連は十分な役割を果たしているのでしょうか?これらの疑問を整理するため、私なりに有効な対策を6段階想定しました。具体的には、すべての国が参加し妥当な義務を課す「シナリオA」から、参加しない国が出現し有効な義務も課されない「シナリオF」までの「6つシナリオ」を設定しました。   最も望ましいのは「シナリオA」であり、このシナリオに近い対策を打ち出すことが重要となってきます。しかし、現在採択されている国際枠組み「京都議定書」はシナリオEに相当し(【図1】)、各国が交渉中の「ポスト京都議定書」も、主張の違いからシナリオAには収まりにくい状態です(【図2】)。

図1,2


 「地球温暖化」は急を要する問題であるにも関わらず、実効性ある枠組みの成立が困難であることが窺えます。では、この現状に国連はどのように対処するべきなのでしょうか?ここから先の、「国連に求められる役割」に関心がある方には、ぜひ論文を読んでいただければ、と思います。
佐藤栄作賞優秀賞受賞論文: http://www.unu.edu/esmf/24th/24-2.akamatsu.pdf
 本論文では「国際枠組み」や「国連」といった、非常に大きな視点を持って「地球温暖化問題」について論じました。しかし、この問題は「国際機関」や「各国政府」に任せるだけでなく、私たち一人一人が考え、取り組むべき身近な問題でもあります。皆さんは、先送りや生半可、急場しのぎ、遅延ではなく、「実効性」のある身近な対策を講じていますか?今日の一人一人の一歩が、私達を6つのシナリオのいずれに導くかを決めるのではないでしょうか。

賞状 
 

赤松直美さん 国連記念財団

【受賞者コメント】  この度の第24回佐藤栄作賞「地球環境を改善する国際枠組みと国連の役割」という論題に対して、国内外の多くの社会人・研究者・学生が各々6ヶ月の月日をかけて論文を執筆しました。その中で、私の論文が優秀賞という評価をいただいたことを非常に嬉しく思います。
 2008年7月3日、表彰式のため国連大学に足を運びながら、私は改めてこの度の賞は本学の教育の賜物だと実感いたしました。具体的には以下二つの点が上げられます。
 第一に、国際性に富む教育です。国際社会に開かれた本学の教育を通じて、私自身も日常のあらゆる事柄を様々な視点から考える習慣が培われました。これは、論文の中でも活かされ、内容を深めることに繋がったのだと思います。
  第二に、少人数制教育です。普段から少人数のゼミで議論を重ねてきたことにより、自然と一つのことを深く追求する姿勢が身に付いたように思います。社会人や研究者の中にあって、学部生の私の論文が評価いただけたのも、この「深く追求」するための土壌たる「少人数制」が本学にあったから、と実感いたします。
  後輩の皆さんにはぜひ聖心女子大学の教育に自信と誇りを持って、在学中に沢山の事を吸収していただきたいと思います。「聖心女子大学」という土壌に「好奇心」という種を蒔き、「自分」という鍬を使って、一人一人が様々な事に挑戦し、ご自身の成長を実感できればと思います。


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