トーチライトのキャンドル 卒業写真 キャップと卒業証書


 3月13日 土曜日。
キャンパス内の木々につぼみがつき始め、暖かい日差しの中に春を感じるなか、
本学キャンパスにおいて、第54回卒業式(学士学位記授与式)、
第51回修士・第1回博士学位記授与式が行われました。
学生生活に終止符をうち、新たなスタートを前に、
期待と不安を胸に抱いて巣立って行った卒業生の様子を写真に納めました。
4年後の自分を想像してみてください。


卒業式


卒業証書の授与 学長より卒業証書が手渡されます 卒業生一同 大学院卒業式

指導教員に花束     ゼミ仲間で喜びの写真撮影     友人同士で写真撮影


感謝の祈り

トーチライト・プロセッション             伝統の灯が受け継がれます

こちらは、トーチライト・プロセッションの様子です。これは3年生が4年生からろうそくの灯にこめた
聖心スピリットを受け継ぐ厳かで伝統的な行事です。




【卒業式式辞】 祈りのうちに、使命を生きる 学長 山縣喜代

 学士学位記を授与される四八七名の皆様、おめでとうございます。(中略)
 皆様がこれから歩んでいかれる道はどの道も希望に満ちたものであり、様々な可能性をもっているものではありますが、決して平坦なものではないでしょう。時にはひどく苦しみを伴うものでさえあるかもしれません。けれどもどの道も命のある限り精一杯生き抜くに値するもの、どの道もかけがえのない一人一人に託された固有の使命をもっているものであることは疑う余地がありません。(中略)
 あなた方はその道を、今まで多くの方々の指導のもとに培ってこられた広く深い知性と、自ら思考し判断できる能力と、正しいと信じることを勇気をもって実践する力をもって切り拓いていかれることになります。特に、生きる意味やキリスト教的価値観等について考える習慣を身につけた聖心女子大学の卒業生は、自分の人生のよりどころとなる精神的基盤をもっています。あるいは今後それをもつようになる素地を作っています。また自分を超えた存在に心を馳せることを学んだ聖心女子大学の卒業生は、順境にあっても逆境にあっても、祈りのうちに、祈りに支えられて日々を過ごすことの意味を知っています。
 私たちが今身をおいている世界は、個人の生活においても、社会の活動においても、また世界の動向という観点からも、あまりにも複雑で難しい問題が多すぎます。時には、泥沼にはまったような状態になり、希望の光が見えにくくなってしまうこともあります。けれども祈ること、神に心を上げることを知っている私たちは、暗闇の中にあっても絶望することなく、闇を突き抜けていくことができる力を見出すことができるでしょう。
 一昨年ノーベル平和賞を受賞した元アメリカ合衆国大統領ジミー・カーターは、自らの祈りの日々の体験を彼の著書 "Living Faith" の中で生き生きと表現しています。彼は、誰もが体験する個人的な家族の問題、経済的な問題、身体の問題等を、さらに大統領として直面した数々の難しい問題等すべてを、祈りの中で神と相談しながら解決していったと記しています。(中略)そして、祈りのうちに決断したことは、結果がどのようなものであろうともそれを受け入れることができる心の平安が得られ、また同時に孤立と傲慢の誘惑に抵抗することができたと述べています。
 私たちも日々似たような体験をしているのではないでしょうか。神の導きを願って決定し、行動するならば、結果が必ずしも自分の思い通りにならなくても、それは落胆や絶望への道とはならず、神が指し示してくださる新しい道への始まりであることを確信して、平安と希望のうちに歩み続けることができるのではないでしょうか。
 新しく始まる生活の中でも、祈りのうちに神と相談しながら働く姿勢を忘れないでいただきたいと思います。特に、困難に直面して、希望の光が見えないように思われる時、神に心を上げ、神の愛に溢れたみ手に委ねる道があるのだということを思い出してください。
 このように神の助けを受けながら、自分に与えられた固有の使命を果たしていきましょう。自分に対しての義務、自分の家族に対しての義務、そして社会に生きる地球市民としての義務が私たちの働きを待っています。「責任」とか「義務」という言葉は、とかく自由を束縛する、自分の可能性を狭めるものとして捉えられがちですが、人間というものは感覚的悦楽に満たされ、自己の選択を制限するものを排除できれば幸せになれるような存在ではないことを、先進国と言われる国々で実存的空虚感が増大している事実が物語っています。(中略)インドの思想家であり、詩人であるタゴールが次のように歌っています。「私は眠り夢を見る、生きることが喜びだったらと。私は目覚めて気づく、生きることは義務だと。私は働く−−すると、ごらん、義務はよろこびだった。」と。
 現在、私たちが住んでいる地球上には、私たちが自分のことばかり考えてはいられないほど、極度の苦しみに悶えている人々が多く存在しています。(中略)それらの人々を苦しめている問題の多くは、私たち人間が作り出したものですから、私たち一人一人の手が、心が連携していくならば、必ず解決へと導かれるはずです。これらの問題に私たちは誰一人として無関心でいることは許されません。ローカルなレベルであれ、グローバルなレベルであれ、よりよい社会作りに寄与することは、してもしなくてもよいことではなく、今を生きる私たち一人一人がなすべき義務であり、使命です。
 今日、聖心女子大学を卒業される皆様お一人お一人が、それぞれに派遣される異なる場で、神の恵みと導きのうちに、ご自分に与えられた使命を全うされますよう、そしてその生き方を通して充実した日々を過ごされますよう、心から祈っております。(後略)



【卒業式謝辞】 第五十四回 卒業生代表 上田順子

 春の鳥たちがこのキャンパスに訪れ、木々の梢に生命の息吹が感じられる本日、ご列席の皆様方から温かい祝福を頂く中で卒業の日を迎えることができましたことを、卒業生一同、心より感謝しております。
 思い返せば四年前の春、このマリアンホールに私達新入生は席を与えられ、大学生活への期待に胸をふくらませながら、緊張した入学式に参加いたしました。四年の間に自分に適した専攻分野を見つけることが出来るか、楽しい友人関係を構築出来るかなど、まだ自分というキャンバスに何を描けばいいのかと不安を感じていた私達でした。
 しかし、聖心女子大学での四年間に私達は勉学を通じてそれぞれの課題や関心事を見つけ出し、自分らしい絵をキャンバスに描き続けることが出来ました。それを可能にしてくださったのは、建学の精神に基づく高い理想と、後進への愛を常に私達学生にお示しくださった先生方です。学問の中での真理の探求を通じて、自分ひとりでは考えることの出来なかったであろう新しい価値観や、ものの見方に遭遇でき、一つ一つの課題を自分らしくそれを掘り下げることを指導して頂きました。自分なりに考えること、また一つの事象を異なる視点で考える柔軟性を培うよう常に励ましてくださったのは先生方であり、共に学んだ仲間達です。
 また、四年間の勉学の集大成ともいえる卒業論文は、自己の未熟さと成長を実感するよい機会を与えてくれました。書き始めた頃は訂正で真っ赤になって返却される原稿を見ては、何から改善すればよいのかもわからず、途方にくれたこともありました。学問の奥深さが示される度に、自分の未熟さを思い知らされ悩む日々が続きました。しかし、自分なりの発見や疑問を持って、先生の扉をノックすると、そこにはゼミ生一人一人をより高いレベルへ引き上げようと待っていてくださる先生がいらっしゃいました。先生方は私達の意見に耳を傾け、それに対して常に問いを投げかけてご指導くださいました。私達はその問いかけに対する回答を見つけては、更に新しい課題を与えられ、その繰り返しで自分自身を向上させることが出来ました。時には友人と議論を交わし、刺激し合い、認め合い、喜怒哀楽を共にしながら本当の答えを探し求めて日を過ごしました。自発的に求めれば 求めるほど個々の可能性を十分に引き出してくださる先生方、共に高め合える魅力あふれる友人達、四季折々の風情を楽しめるキャンパス。このような恵まれた環境の中で、四年間勉学にも課外活動にも励み、かけがえのない日々を送れましたことを心から幸せに思います。もし私達が心身ともに成長出来たと認めて頂けるのなら、それは聖心女子大学の掲げる教育理念のもたらしたものに他なりません。
 聖心女子大学が単に「高度な知性を育成」するだけではなく、人と人との絆を大切にしながら、「心の育成」をも行う学び舎であるという聖マグダレナ・ソフィア・バラの教育理念が、創立から二百年以上経った現在でも本学に脈々と受け継がれ、生き続けているあかしだと確信しております。
 一方、私達が踏み出そうとしている社会では、人の心の闇を反映させる事件が絶えません。人は、競争社会の中で目先の利益を追い、自己中心的な行動に走りがちの様に見えます。荒廃した現代社会の中で、聖心女子大学で学んだ私達は、他者の立場や考え方を理解する姿勢を教えられた者たちとしての責任を感じます。
 聖心女子大学の先生方は常に多角的な視野に立つ必要性を教えてくださいました。私達が不自由なく暮らしているこの狭い世界とは別に、様々な深刻な問題を抱えた国があるということを、講演や先輩方の活躍を通して改めて気づかされ、広い世界観を培うことを助けられました。環境破壊や資源の枯渇、高度に発達した科学技術の弊害、テロや戦争など先行き不透明な国際情勢の中で解決すべき問題はたくさん残されております。私達はいかに恵まれた社会に住んでいても、地球の向こう側に横たわる様々な問題をいつも意識し続け、個人の力ではどうすることも出来ない問題についてもそれに対して、自分は何が出来るかと問う魂を持ち続けることを忘れないで生きていきたいと思います。
 今、私達は慣れ親しんだ学窓を巣立ち、それぞれ新たな一歩を波立つ社会に踏み出そうとしております。これまでの温かい保護の下にあった私達にとって、これから羽ばたこうとする社会は甘えの許されない厳しい社会であることも自覚しております。これからの年月の中で、思案に暮れ、立ち尽くすこともあるかもしれません。その時はこの聖心女子大学でくり返し与えられた教え―一人の人間としての誇りを持ち、あらゆることに挑戦し、日々努力していくことを力とし、成長し続ける覚悟でございます。
 終わりに、四年間私達をあらゆる面においてご指導、ご支援くださいました先生方、職員の皆様、そして、この学び舎で学生生活を送ることを可能にしてくれた家族に、心よりお礼申し上げます。本当に有難うございました。今日からは私達の永遠の母校となる聖心女子大学が、私達が今限りない惜別をこめてふり返る学生生活と同じ四年間を後輩達に与え続けることを心より祈りつつ、感謝の言葉とさせていただきます。