コード HA29-01
系列 系列:哲学・思想史
授業科目 哲学・倫理学特講Ⅱ
副題 (ケアの社会倫理学)
副専攻 A3・H1
担当者 川本 隆史
単位 4
期・曜時 通年 火5
対象学年 2・3・4年
特記事項

授業概要
 心理学者キャロル・ギリガンが話題作『もうひとつの声』(1982年)で「正義の倫理」と対置した「ケアの倫理」。これは「すべての人が他人から応えられ仲間に入れてもらえ、一人ぼっちで置き去りにされ傷つけられるような人はいない」状態を理想とするもので、葛藤状態にある複数の責任と人間関係のネットワークを重視し、「文脈を踏まえた物語的な思考様式」によって目前の苦しみの緩和を図ろうとする。本講義では、ギリガンの問題提起を受けて始まった「正義vsケア」論争を手がかりにしながら、両者の統合を心理的な成熟目標に定めるのではなく、正義を「正しい・まともな」という形容詞に差し戻すことによって、「まともなケア」あるいは「ケアの正しい分かち合い」をサポートする諸制度を構想する理路を探りたいと思う。可能な限り、日本の医療、教育、福祉の諸制度の検討も織り込むつもりである。
 なおテキストに用いる編著への反響や批判に対しても、適宜応答を試みたい。
課題・評価
 出席・授業中の発言・レポートにより総合評価する。
テキスト
 川本隆史編『ケアの社会倫理学――医療・看護・介護・教育をつなぐ』(有斐閣、2005年、ISBN4-641-28097-5)
参考文献
 川本隆史『共生から』(哲学塾シリーズ、岩波書店、2008年)
受講生への要望
 "homo sum ; humani nihil a me alienum puto." という箴言を協働して実践している学生の受講を望む。
授業計画
 初回に受講者の問題関心を聴かせてもらい、できればゼミナール形式でテキストを読み進めたい。
 授業の節目節目にビデオを見て感想を交換し合う予定である。

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