コード WA73-01
系列 人間科学専攻(博士前期課程)
授業科目 基礎教育学特論3
副題 (社会科学系大学院生のための、定性的研究入門)
副専攻
担当者 ヤング吉原 麻里子
単位 2
期・曜時 前期 集中
対象学年 学部3・4年生も可
特記事項

学習目標
 本講義における学習目標は、以下の三点です。
① Social Science Research (社会科学系の研究)とは何かを理解する。
② Qualitative Research (定性的研究)とは何か、どのように進めるのかについて概要を学ぶ。
③ 研究活動に必要な知的基礎スキル(クリティカル・シンキング・論文構築のロジック)を身につける。
授業概要
 Social Science(社会科学)は、人間や社会組織をとりまく様々な事象に、観察・分析・考察を基にして客観的な法則性を見いだしていく学問です。社会科学には、数字を用いて分析を伴うQuantitative Research(定量的研究)に対して、Qualitative(定性的)とよばれる研究方法があります。ある特定の課題に対し「なぜか」という問いをたて、その事象に含有されている要素を多角的に考察するため、インタビューやparticipant observation(参与観察)、content analysis(文書や映像の内容分析)といった様々な手法をもちいて調査を行う研究活動をさします。

 『学習目標』に掲げた三項目を達成するために、全体を第一部と第二部にわけて講義を行います。第一部では、大学院生が研究を進め論文をまとめる上で必要な知的スキルの習得に主眼をおきます。受講生は様々な演習を通して、議論の構造を論理的かつ多角的に分析し、主張の本質を見抜くための思考パターン(クリティカル・シンキング)を身につけます。また、説得力ある論文を組み立てる方法を詳しく学びます。第二部では、大学院生が実際に定性的研究を進める上で考えるべき基本的ポイントを順序立てて説明します。社会科学とは何かを概観し、定性的研究の有効性と制約について考え、具体的にどのような手法があるのかを検討します。

 パワーポイントを使用して講義を進めますが、スライドに提示するキーワードは主に英語で紹介し、導入する関連論文や演習課題にも英文テキストを使用する予定です。これにより、受講生が社会科学系の論文を英語で読解する際に役立つ語彙の構築を目指します。講義およびディスカッションは、日本語で行います。
テキスト
 教官が作製したスライドを主な教材として講義を進め、必要に応じて関連する論文や資料を紹介します。特定の教科書はありません。
参考文献・課題図書
 講義をよりよく理解するための参考書としては、以下の文献をお勧めします。
● G.キング・R.O.コへイン・ S.ヴァーバ(共著)、真淵勝(監訳)『社会科学のリサーチ・デザイン 定性的研究における科学的推論』勁草書房
● Joseph A. Maxwell, 『Qualitative Research Design: An Interactive Approach (Second Edition)』(Applied Social Research Methods Series Volume 41), Sage Publications
受講生への要望
 修士論文・博士論文の調査活動を始める前に、研究者として身につけておきたい知識やスキルを学ぶクラスです。「社会科学とは何をする学問なのか」「社会科学系の研究を行うには、どのような手法があるのか」「社会科学系の大学院生として、どういったスキルや知識が求められるのか」といった探究心のある受講生の方を歓迎します。
評価方法
 全講義にきちんと出席し、積極的に演習課題に取り組み、ディスカッションに参加して下さい。平常点は総合評価の70%を構成します。 第一部終了時に講義内容の振り返りと整理をし、理解度を確認するためのQuiz(小テスト)をします。講義終了後に、全体評価の30%を構成する課題レポートの提出が課されます。
授業計画
1.第一部:Critical Thinking & Clear Writing(大学院生のための知的基礎スキル) 
2.大学院生にもとめられる「クリティカル・シンキング能力」とは何か? 
3.クリティカル・シンカーの思考パターン
4.クリティカル・シンカーの論文読解プロセス
5.論文構築のロジック(1)
6.論文構築のロジック(2)
7.第一部の振り返りと整理、理解度確認
8.第二部: Designing Qualitative Research in Social Science (社会科学における定性的研究の進め方)
9.社会科学とはどういった学問か? その意義と背景について
10.定性的研究とはなにか? その有効性と制約について
11.定性的研究はどのようにデザインし、進めていくのか
12.定性的研究の調査方法論(1)
13.定性的研究の調査方法論(2)
14.リサーチ・プロポーサルの書き方 & 研究者倫理についてのディスカッション
15.総まとめ & 課題レポートの説明
自由記述欄

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