コード WA72-01
授業科目 基礎教育学特論2
副題 (ヨーロッパにおける子ども観と教育思想の社会史的展開)
副専攻
特記事項
担当者 北本 正章
単位 2
期・曜時 後期 月2
対象学年 学部3・4年生も可

学習目標
 この授業では、20世紀後半から21世紀初頭にかけて大きく発展してきた世界の子ども観の社会史研究の動向を踏まえ、歴史と社会の中の子ども観、子ども理解、子どもの発達についての意識と価値観の展開を幅広い社会文化史的な文脈の中で理解するとともに、それが近代以降の教育学の発展に及ぼした影響を解明することを学習目標としています。
授業概要
 この講義では、アリエスの子ども観研究以降カニンガムの研究に至るまでのヨーロッパ近代前後の子ども期と教育思想に通底している「子ども観」がどのような生物学・医学・自然的基盤と社会・文化的な基盤の交点に成立してきたのかを、最新の研究情報に接しつつ、多様な学問領域のなかに探り、近代教育学の思想的構造を解明します。
テキスト
 特に指定しませんが、授業の展開に即して適宜、文献解題を致します。
参考文献・課題図書
 アリエス   『子供の誕生』(みすず書房)
 ショルシュ  『絵で読む子どもの社会史』(新曜社)
 ストーン   『家族・性・結婚の社会史』(勁草書房)
 マクファーレン『再生産の歴史人類学』(勁草書房)
 カニンガム『近代ヨーロッパにおける子どもの教育と福祉の社会史(仮題)』(新曜社)
受講生への要望
 混迷しているかに見える現代社会の子ども観、教育観の史的展望を獲得し、わたしたちの子ども理解、発達理解、教育理解のフロンティアを拓き、教育認識を幅広い視野の中で深めたいと願っている人の参加を希望します。専門分野の壁を超えて、子ども、教育の諸問題を学際的に考察したい人を歓迎します。
評価方法
 出席状況(30%)、授業中のミニ発表(40%)、課題レポート(30)%を総合評価します。
授業計画
1.発題――子ども観研究の対象と方法
2.アリエス以前の子ども観研究
3.アリエスの子ども観研究(1)
4.アリエスの子ども観研究(2)
5.1980年代以降の脱アリエス・パラダイム
  (1 デ=モスの親子関係史研究)
6.1980年代以降の脱アリエス・パラダイム
  (2 ショーターの母子関係史研究)
7.1980年代以降の脱アリエス・パラダイム
  (3 ストーンの家族史研究)
8.1990年代以降の修正派の研究
  (1 ポロックの子育て史研究)
9.1990年代以降の修正派の研究
  (2 マクファーレンの子ども観の歴史人類学研究)
10.2000年代以降の全体状況説の子ども観研究
  (1 中世の子ども観研究)
11.2000年代以降の全体状況説の子ども観研究
  (2 近代以降の子ども観研究)
12.2000年代以降の全体状況説の子ども観研究
  (3 カニンガムの子ども福祉研究)
13.近代家族と子どもの社会化
14.子どもの「しつけ」の諸相の社会史的変容
15.近代家族と子どもの教育
16.社会史における4つの子ども観と「教育」概念の変貌
自由記述欄
 この授業では、欧米における発達思想の根底に横たわっている「子ども観」「青年観」がどのような生物学・医学・自然学的基盤と社会・文化的な基盤との交点に成立してきたのかを解明するために、子どもの発達と教育の文化・社会的基盤を検討することによって、従来の子ども認識や発達観、教育思想を社会史的なリアリズムの中で捉え直すとともに、混迷しているかに見える現代社会の子ども観、教育観の問題の積層を知ることがこの授業の学習到達目標です。わたしたちの子ども理解のフロンティアを拓き、子どもへのかかわり方を少しでも良い方向に導き、それらに進歩的で発展的な意味を付け加えていきたいと考えている参加者を歓迎します。

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