コード HF10-01
授業科目 美学・芸術学特講Ⅰ
副題 (ゲーテ、1805年の夏休み、その一)
副専攻 H1
特記事項
担当者 加藤 好光
単位 2
期・曜時 前期 木3
対象学年 1(B)・2・3・4年

学習目標
 プロティノスに基づく以下のゲーテの詩、そこに表現をみる精神の理解が本講義の学習目標となる。
 「眼が太陽のようでなかったら / どうして光を見ることができよう
 神の力が我らに宿ってなかったら / どうして神々しさに魅了されよう」
授業概要
 1805年初夏、シラーの死後着手した古代美術史家ヴィンケルマンの伝記作成に学問的支援を得るべく、ゲーテはハレ大学の古典学教授ヴォルフをワイマールに招いた。その折ふたりはハイデルベルクで春に発行されたばかりの雑誌『Studien』創刊号を知った。そこにゲーテが見出したのは、はじめてドイツ語に訳出されたプロティノスの一篇「自然・観照・一者について」(Ⅲ・8)であった。その後、夏にヴォルフ教授とハレ近郊を旅している期間、彼はプロティノスの書に熱中した。本講義では、歴史的資料を踏まえつつ、ゲーテのプロティノス受用を再構成する。この作業を通じて我々は、人間とはこうであり得るのだというひとつの範例を持つことになるであろう。
特講Iではおもに、夏休み以前を取り扱う。
テキスト
 関連資料は板書もしくはゆっくり朗読する。
参考文献・課題図書
 加藤好光「四行詩「眼が太陽のようでなかったならば…」について―その成立史と思想的背景―」、『ゲーテ年鑑』、第三七巻(平成7年)
 同、「プラトンおよびプロティノスにおける«helioeides»概念についての覚書―ゲーテのプロティノス受用との関連から―」、東京大学文学部美学藝術学研究室紀要『研究』13(平成6年)
 同、"Zur Bedeutungsgeschichte des Wortes »theoria«", in : JTLA Vol.20 (1995)
受講生への要望
 後期の同じ時間帯に開講される「美学・芸術学特講Ⅱ」は本講義の続きですから、受講を勧めます。
評価方法
 試験によって評価する。
授業計画
1.導入
2.ゲーテについて
3.シラーの死、ヴィンケルマン研究、1805年のゲーテ
4.ハイデルベルク、春:『Studien』創刊
5.ワイマール、初夏:ゲーテ・ヴォルフ・アイヒシュテート
6.プロティノス『自然・観照・一者について』
7.テオリア(観照)の意味契機:合一と道行き
8.「万物はテオリアを希求する」
9.主客未分からの充溢流出・主客合一の能産性・創造性
10.アリストテレス『ニコマコス倫理学』における「テオリア」
11.感覚・知性における形相受容と「同じものは同じものに」
12.「ヘン・カイ・パーン」:ソクラテス以前の哲学者たち
13.18世紀後半の流行としての「ヘン・カイ・パーン」
14.東洋における「全一性(All-Einheit)」の思想
15.試験
自由記述欄

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