コード JB22-01
授業科目 教育学特講2
副題 (親子関係と子ども観の歴史人類学的研究)
副専攻 J1
特記事項
担当者 北本 正章
単位 2
期・曜時 前期 月2
対象学年 1(B)・2・3・4年

学習目標
 この授業は、ヨーロッパの古典古代の時代から、中世、ルネッサンス時代、近代市民社会、産業革命などを経て現代社会に至る歴史の中で、「子ども」がどのように育てられ、教育されてきたのかを「社会史」的なまなざしの中でとらえるとともに、近代以降の子ども認識の歩みが、現代につながる教育学や子どもの発達観、子育ての在り方に大きな影響を及ぼしてきた思想史的な経緯をリアルに理解することを学習目標としています。
授業概要
 この講義では、ヨーロッパ近代の教育思想と発達思想の根底に横たわっている「近代的子ども観」がどのような生物学・医学・自然的基盤と社会・文化的な基盤の交点に成立してきたのかを、多様な学問領域のなかに探ります。そして、教育学の基礎理論を深めるために、人間形成につながるさまざまな学問分野の成果に学びながら、親子関係と子どもの発達・教育に関する多様な経験を紹介します。
テキスト
 特に指定しませんが、授業の展開に即して適宜、文献解題を致します。
参考文献・課題図書
 アリエス『子供の誕生』(みすず書房)
ショルシュ『絵で読む子どもの社会史』(新曜社)
ストーン『家族・性・結婚の社会史』(勁草書房)
マクファーレン『再生産の歴史人類学』(勁草書房)
ジョン・ロック『子どもの教育』(原書房)
受講生への要望
 この講義の内容の理解を深めるためには、授業中に紹介する多数の関連図書や文献リストを手掛かりに、主体的、計画的に読み進めてください。
評価方法
 ミニレポート(20%)、課題レポート(80%)を総合評価します。
授業計画
1.子ども観の社会史への関心の高まり
2.子ども観の社会史と教育学
3.子ども観の社会研究の方法的特色
4.子ども観の社会研究の世界の研究動向
5.アリエスの子ども観史研究から
6.親子関係の心理=社会史(サイコヒストリー)研究から
7.非形成の社会史(A 子殺しの社会史)
8.非形成の社会史(B 捨て子の社会史)
9.人口動態史と子ども観
10.伝統的共同体の子ども観
11.中世家族の子ども観
12.「家政書」の解体と親子関係の変貌
13.近代家族の子ども観
14.親離れの社会史(旅の教育力)
15.ロックとルソーの子ども観
16.近代的子ども観の光と影(自立する教育と共存する教育)
自由記述欄
 わたしたちはいま、歴史の大きな転換点にあって、毎日の生活のなかで、古いものと新しいものとがモザイク模様を呈して複雑な断層帯を羅針盤も持たずに渡り歩いているという実感があります。社会システムが揺らぎながらきしむ音を高めるなかで、情報は増えてもなかなか本質が見えない価値観の拡散と混乱にさらされ続けています。このような混迷の時代であるからこそ、知の断層の奥に人間と社会のあり方を問い直す教育学の課題と意義は、ますます増していると思います。講義を通じて、子ども観と人間形成論の史的構造転換の道筋を探求したいと思っている人の期待に応えたいと思っています。

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