聖心女子大学

2008年度 オーストラリア・カンガルー島スタディーツアー 報告会 開催 (2009.5.8)

 2009年2月7日〜17日に行われた‘オーストラリア・カンガルー島スタディーツアー’についての報告会を、5月8日に本学ブルーパーラーにて、ツアー参加者の学生10名が開催した。学長、学務部長をはじめ、教員および学生が体験談に聴き入った。今回のスタディーツアーは、大学の特別研修プログラムとしては昨年度に続き2度目となり、‘持続可能性’をテーマに掲げて行われた。
 報告会では、スタディーツアーの柱となった11のフィールドスタディの様子を中心にスライドの写真や映像を見せながら紹介し、学生たちがそこでどのような学びを得たのかを説明した。さらに、学生たちが現地で英語で行った、スタディーツアーの学びの成果であるプレゼンテーションを日本語で再現した。最後に、学生たちが一人ずつ感想や今後の発展的な活動について述べた。一連の体験を通して学生たちの価値観やライフスタイルに変容が見られるほどに、スタディーツアーは成功裏に終えたことが伝えられた。

聖心女子大学 大学院 人間科学専攻 博士前期課程2年 水野 涼子

 

 

○ オーストラリア・カンガルー島 ESD スタディーツアー報告書はこちらをご覧ください
>> 日本語版 (PDF | 10.8MB)    >> 英語版 (PDF | 17.4MB)

 

 

 


【報告】 カンガルー島スタディツアー −サスティナブルな生活について考えた11日間−

(聖心キャンパス 第178号より転載)

 昨年のラオス及びタイでのスタディツアーに引き続き、持続可能性をテーマに第2回目のツアーが実施された。今年の訪問先はオーストラリア。南半球の真夏にあたる2009年2月、13名の学生と2名の教員がユネスコ青年交流信託基金事業の一環としてオーストラリアのカンガルー島でフィールド・ワークに臨んだ。普段は都会の生活に慣れた学生たちが、カンガルー島の大自然の中で11のプログラムと報告会をこなし、地球環境について、自然と人間の共生について、ひいては自らの生き様について再考したような11日間であった。

 南オーストラリア州の州都であるアデレイド郊外からフェリーで40分ほどの沖合にあるカンガルー島は手つかずの自然の宝庫である。学生たちは2〜3名のグループを組み、「生物多様性」や「エコツーリズム」、「海洋環境保全」、「自然と人間の共生」、「サスティナブルな生活」という5つのテーマのもと、日本での事前調査と5日ほどの現地調査に取り組んだ。船上からイルカの生態系を調べたり、国立公園でアザラシの観察をしたり、ペンギンが産卵するためのミニハウスを作ったり、世界一純度の高いと言われる蜂蜜工場などエコ・プロダクトの工場や農場を見学したり、各地で専門家の話に耳を傾け、自分だけのフィールド・ノート作りに勤しんだ。

 毎晩、その日に見たこと、感じたこと、考えたことなどを仲間同士で分かち合い、最終日には、海を臨む大地のただ中に座り、大自然の中で一人だけの時間をすごすというワークも体験した。遠く離れた日本での生活や環境に想いを馳せ、自己を見つめ、あらゆるものとの「つながり」を感得するようなリフレクションの時間を学生達は過ごした。

 最終日には、島内の専門家の方々や市民を招き、カンガルー島での体験を通して学んだこと、考えたこと、感じたことについて、プレゼンテーションを行った。

 学生たちは短期間にもかかわらず、驚くほどの吸収力をもって体得した知見をパワーポイントにまとめていた。なかでもチャレンジングであったのは、カンガルー島で学んだことをいかに東京という大都会の生活で活かすかという課題であったが、こうした「宿題」に対しても現地の図書館やインターネット上で情報を収集し、取組んだ。入念に準備した内容は英語で発表され、島内の方々から大きな拍手喝采を浴びていた。フェアウェルのイベントでは、主催者より一人ひとりの学生に修了証が手渡され、それぞれの学生の充実感に満ちた表情が印象的であった。

 1週間のハードなスケジュールをこなした学生たちはカンガルー島在住の講師に「地球温暖化など持続不可能な様相をますます帯びている現代ですが、みなさんは社会を持続可能にしていく変化の担い手(チェンジ・エージェント)です」と讃えられ、それぞれに自信や自己肯定感をもてた旅でもあったようだ。

 スタディツアーへの出発前にとったアンケートでは「持続可能な未来に向けて何かをしたいが、実際に何をしてよいのか分からない」という考えを6割以上の学生がもっていたが、帰国後に同じ質問をしてみると、9割近くがなすべきことに対してより明確なビジョンをもつようになっていた。「価値観や行動様式」を持続可能な未来社会に向けて育んでいくことは、このプログラムを支援したユネスコの目標でもある。カンガルー島で駆使した問題解決力や想像力を都会での生活にも活かし、スタディツアーが持続可能な未来の社会形成に少しでも役立てば、企画者の一人としてこの上ない喜びである。

 最後になるが、このツアーの実現にご理解を示した下さったユネスコ関係者および大学関係者、そして多忙の中、環境問題の専門家としてご参加いただいた英文学科のB・ブッシェル先生に、この場をかりて深謝の意を表したい。

教育学科准教授・永田佳之

 


イルカを船上から観察する学生たち


地元の人々を前に学んだことを発表する学生たち

close