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コミュニケーションの生涯発達

  • 心理学科

井上 智義 教授

言語心理学、異文化理解、バイリンガル、認知発達

研究のテーマ

異文化理解のコミュニケーション、および日本語使用が難しい人たちへの心理支援

研究テーマの内容、研究活動

最近おこなった研究は、国際結婚家庭における言語使用の問題です。皆さんは、外国の人と結婚する可能性について、考えてみたことがありますか?子どもが生まれたとして、子どもはどの言語で育てるのが良いでしょう?相手が英語圏の人だった場合、家庭では頑張ってあなたも英語を話し、家の中では英語しか使わないという方法もあります。日本でそのような育て方をすれば、それは少数派言語使用方略と呼ばれるものになります。世界では英語は国際語で、少数派の言語ではありませんが、日本の中では、日本語が使用される割合が圧倒的に多いので、英語が少数派言語となります。私の元同僚のアメリカ人の男性は、日本人の女性と結婚して、いま3人の男の子を育てています。高校で国語の教師をしている彼の妻も、家では英語だけを使用しています。子どもをバイリンガルに育てるためです。

このような国際結婚の場合、父親は英語、母親は日本語というように、いずれも母語で子どもと会話をして育てるという方法もあります。このような方法は、一親一言語方略、あるいは一人一言語方略と呼ばれます。でも、子どもが保育所に行き出したりして、日本語を多く経験し始めると、それ以外の言語(この場合は英語)を使いたがらなくなります。ですから、子どもをバイリンガルに育てようとすると、英語圏に頻繁に出かける、英語母語話者との交流を意図的に増やす、英語の絵本やCD, DVDを豊富に揃える、などの工夫が必要になります。

そもそも、子どもをバイリンガルに育てることが、良いのか悪いのかという議論はありますが、国際結婚家庭においては、自然なことだと思います。どのような学校に子どもを通わせるか、ということも大切なこと選択肢として入ってきます。私のもう一つの研究は、子どもの母語以外で教育をするという、イマージョン教育と呼ばれるものです。そういう学校が日本でも、少しずつ、増えてきています。

共著『高座 心理学』

研究テーマの意義・面白さ

私の研究テーマ選びは、あまり人がやらないことをしてみたいというところから出発しています。多くの研究者がやっているテーマで研究すると、当然ライバルが多くなります。頑張らないと負けてしまいますね。もちろん、研究は勝ち負けではないのですが、その心理的なストレスを、あまり感じたくないのです。自分が知りたいことを、自分のペースで調べていく。そういうやり方が性に合っているのだと思います。

私自身は、国際結婚を考えるような機会はありませんでした。でも、海外に出かけるのが大好きで、毎年一回、多いときには三回くらい出かけます。そうするといろんな方にお会いして、友だちになることも少なくありません。そのなかには、国際結婚をしている人たちが、割と多く、その子育ての方法は、じつに興味深いものでした。子育てをしておられるご本人たちも、そのような方法で本当に良いのだろうか、と疑問をもちながら育ててらっしゃる方たちも多いのですよね。そういう人たちに、私の研究が役立てば、すごく嬉しいと思えます。

高校生や学生へのメッセージ
人間一人ひとりは、他の人にはとって代われない、貴重な存在です。一人ひとりがもつ興味関心は、他人と違っているからこそ価値があるのだと思います。皆さんには、他人がするから同じようにするのではなく、自分の進む道を自分で決めてもらいたいと思います。大学での学びは、決して受け身のものではなく、主体的なものです。やりたいことを決めてから、それができる大学を決めてくださいね。
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