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コミュニケーションの生涯発達

  • 心理学科

井上 智義 教授

言語心理学、異文化理解、バイリンガル、認知発達

研究のテーマ

社会的マイノリティの人たちへの心理支援

研究テーマの内容、研究活動

皆さんは、ユニバーサルデザインということばを聞いたことがありますか?障がいの有無や性別、年齢、使用言語に関係なく、さまざまな個性や特徴をもつ人たちも含めて、多くの人たちが気持ちよく便利に暮らせるように、工夫された生活環境をさします。

私がこれまでにおこなってきた研究には、視覚シンボルによるコミュニケーションというのがあります。タクシー乗り場やコインロッカーの場所などの道案内を、簡単な絵で示していることがありますよね。そのようなところで使用される絵図形が視覚シンボル、あるいは、ピクトグラムと呼ばれています。視覚シンボルをわかりやすくするためには、どのような工夫が必要なのか、子どもや高齢者にもわかりやすくするには、どのようなことに気を付ければよいかなどの研究をしてきました。2021年に東京でオリンピックが開かれましたね。そこでも多くの視覚シンボルが使用されました。(じつは、1964年の東京オリンピックの時にスポーツの種目を表現するのに、このような視覚シンボルが使用され、それが、日本で視覚シンボルが普及するきっかけになったといわれています。)

さて、皆さんは海外に行って困った経験をしたことがありますか?英語圏ならともかく、英語も日本語も使用されていない国や地域では、コミュニケーションが難しくなるだけでなく、道案内やいろいろな説明文なども理解できないことが少なくありません。そこで役に立つのが、この視覚シンボルなのです。逆に、日本語のわからない人が日本に来たときにも、彼らは同じような不都合や不便を感じるはずですね。そのようなときに、コミュニケーションの道具として力を発揮するのが、これらの視覚シンボルなのです。

この原稿で研究のテーマに、社会的マイノリティという用語を使っていますが、社会のなかには、気を付けないと無視されてしまいがちな少数の人たちがおられます。いわゆる障がい者や高齢者、日本語の理解が難しい外国人などがそれにあたります。そういう人たちこそ、周りからのちょっとした支援を必要としているのです。でも、そのような支援は、善意の気持ちだけではおこなうことができません。特別な技能や知識も必要になります。

視覚シンボルの使用例

研究テーマの意義・面白さ

私の研究テーマ選びは、あまり人がやらないことをしてみたいというところから出発しています。多くの研究者がやっているテーマで研究すると、当然ライバルが多くなります。頑張らないと負けてしまいますね。もちろん、研究は勝ち負けではないのですが、その心理的なストレスを、あまり感じたくないのです。自分が知りたいことを、自分のペースで調べていく。そういうやり方が性に合っているのだと思います。

心理学の研究は、その多くが人間に関するデータをとることから始まります。幼児や高齢者と接するには時間がかかり、大変な側面もあるのですが、普段あまり会わない人たちとコミュニケーションができたり、自分たちとは、異なる思考や文化をもつ人たちと出会えることは、興味深いことだと感じます。

共著書
高校生や学生へのメッセージ
人間一人ひとりは、他の人にはとって代われない、貴重な存在です。一人ひとりがもつ興味関心は、他人と違っているからこそ価値があるのだと思います。皆さんには、他人がするから同じようにするのではなく、自分の進む道を自分で決めてもらいたいと思います。大学での学びは、決して受け身のものではなく、主体的なものです。やりたいことを決めてから、それができる大学を決めてくださいね。
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