授業概要 |
新約聖書の文書のうち、現在のトルコ(小アジア)を舞台にしたものが多く見受けられます。トルコのエーゲ海に面した往時の国際都市エフェソにゆかりのある新約文書を選び出し、研究してみようと思います。まずその主人公はユダヤ青年パウロです。彼はエフェソに長く滞在して、イエスの始めたユダヤ教の刷新運動を行いました。 またエフェソは伝説によるとヨハネの文書(手紙と黙示録)ともゆかりのある都市でありました。ギリシア・ローマ的なもの、土着のものを背景に持つ人々との出会いを通じて形成されたキリスト教の原点に戻って、わたしたちの今を考えようと思います。 |
課題・評価 |
授業内容に対するコメントや問いに対する応えを書いて頂き、期末のレポートあるいは試験で評価します。 |
テキスト |
旧・新約聖書(翻訳と出版社は問わないが、旧約聖書と新約聖書との合本がよい)。 ギリシア語のテキストとして、わたしが用いるのは The Greek New Testament 国際新約聖書・写本の専門家が編集したもの。 |
参考文献 |
新共同訳『新約聖書注解−II』日本基督教団出版局 2002年第5刷。その他、講義内容に応じて紹介する。 |
受講生への要望 |
聖書学は前提となる幾つもの言語の素養や、歴史・文献学・解釈学・考古学など多岐に渡る基礎が必要な学問なので、簡単ではない。それだけ真剣さが要求される。 |
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授業計画 |
1.新約聖書学とは 2.ローマ帝国下のアジア属州の首都エフェソと係わりのある文書 3.国際都市エフェソ 4.ガラテア書のユダヤ青年パウロの自伝とその回心に至るまでの道 −−紀元後70年以前のイエス・パウロ時代のユダヤ人たち −−ユダヤ人たちの信条・・歴史、聖書、祭り、ミシュナ、ハガダー、タルムード 5.ガラテアでパウロが出会った異邦の人々 6.ユダヤ民族宗教から普遍宗教へ・・神の前での人々の平等と正義と愛 7.フィレモン書・エフェソの女神アルテミス(ディアナ)の眼差しのもと 8.コロサイ書 −−パウロとその仲間たち −−ギリシア・ローマ的なものと土着のものとユダヤの伝統と 9.エフェソ書 −−母なる教会共同体と宇宙万物の支配者 −−処女神と母神と神の母マリア 10.ヨハネの黙示録 −−太陽をまとい月を従え、十二の星の冠をいただく貴婦人 |
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