コード HD73-01
系列 系列:キリスト教学
授業科目 キリスト教学演習Ⅲ
副題 (トマス・アクィナス『神学大全』講読~「愛」とは何か~)
副専攻 H1
担当者 加藤 和哉
単位 4
期・曜時 通年 火2
対象学年 1(B)・2・3・4年
特記事項

学習目標
 西洋中世13世紀の神学的・哲学的文献の読解。①テクストの内在的読解、②テクストの背景の理解、③テクストの向う「ことがら自体」の考察の三つを頭に置きながら、丁寧に読みすすめる。
授業概要
 トマス・アクィナスの『神学大全』第Ⅱ部は、西洋中世最大の倫理学的文献であるだけでなく、古代ギリシア以来の倫理学の集大成でもあります。昨年度から、キリスト教的倫理学の中心概念である「愛」について扱う第Ⅱ-Ⅱ部第23問~第33問を読み始めました。
 本年度はその2年目で、「愛の基体・主体」を論じる第24問を扱います。この問題は、キリスト教的愛(アガペー/カリタス)が人間のうちに、どのように生まれ、成長し、あるいはまた失われるのかというテーマを論じるものです。
テキスト
 トマス・アクィナス『神学大全』第16巻、稲垣良典訳、創文社、1987年。
 必要に応じて、ラテン語原文を配布します。
参考文献・課題図書
 稲垣良典、『トマス・アクィナス』、講談社学術文庫、1999年。
 稲垣良典、『トマス・アクィナス倫理学の研究』、九州大学出版会、1997年。
 桑原直己、『トマス・アクィナスにおける「愛」と「正義」』、知泉書館、2005年。
受講生への要望
 講読は翻訳を用いて行いますが、より深い理解のためには原語であるラテン語の理解は必要です。ラテン語Ⅰ未修の場合には並行して履修するようにしてください。
評価方法
 平常点で評価します。講読ですので、出席を重視し、またテキスト講読の割り当てを果たすことが求められます。
授業計画
1.授業紹介。授業計画。参考文献。
2.第1項 「愛の基体は意志であるか」 ①テクストの読解
3.②背景の理解
4.第2項 「愛が人間のうちに生まれるのは、行為の結果なのか、神の注入によるのか」 ①テクストの読解
5.②背景の理解
6.(参照箇所)第Ⅱ-Ⅰ部第51問~第53問 資質の生成、増大、縮小、喪失
7.(参照箇所)第Ⅱ-Ⅰ部第51問~第53問 資質の生成、増大、縮小、喪失
8.第3項 「愛の注入は、生まれつきの資質の高さしだいで」 ①テクストの読解
9.②背景の理解
10.③第1項~第3項 「ことがら自体」の考察
11.第4項 「愛は、愛を有するひとのうちで成長するのか」 ①テクストの読解
12.②背景の理解
13.③第4項 考察
14.前期のまとめ
15.前期のまとめ
16.授業計画。前期の振り返り。
17.第5項 「愛は、増加というしかたで増大するのか」 ①テクストの読解
18.②背景の理解
19.第6項 「愛は、どんな働きによっても増大するのか」 ①テクストの読解
20.②背景の理解
21.③第5項・第6項 考察
22.第7項 「愛は、無限に増大するのか」 ①テクストの読解
23.②背景の理解
24.第8項 「この世の愛は、完全でありうるのか」 ①テクストの読解
25.②背景の理解
26.第9項 「愛の様々な段階について」 ①テクストの読解
27.②背景の理解
28.③第7項~第9項 考察
29.後期のまとめ
30.後期のまとめ
自由記述欄
 トマス・アクィナスの「愛」(caritas)論は、単なるキリスト教的な愛の教えではありません。キリスト教独自の「愛」の概念に、哲学的な観点から解明を与えながら、その独自性と人間学的な基盤を明らかにするものです。
 日本の大学でトマス・アクィナスの講読ができる大学は、数えるほどしかありません。ぜひのぞいてみてください。

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