コード HA66-01
授業科目 社会思想史Ⅱ
副題
副専攻 H1
特記事項
担当者 出雲 春明
単位 2
期・曜時 後期 金4
対象学年 1(B)・2・3・4年

学習目標
 新聞、テレビ、インターネットなど、これらメディアの存在を抜きにして現代社会について考えることはできない。我々は、これらを通じて、多くの情報にアクセスすることが可能になった。また、20世紀末に普及したネットによって、我々のコミュニケーションの輪は大きなの広がりをもつことにもなった。しかし、諸君らも理解している通り、メディアがもたらしたのは恩恵ばかりではない。本講義は、我々が日常的に接しているメディアの功罪双方を視野に入れ、それを自己省察へとつなげていくことを目標とする。
授業概要
 2011年、30年もの強権支配を続けたムバラク政権を打倒し、エジプト革命を成し遂げる原動力となったのは、ネットで意見を交換し、フェイスブックで結集を呼びかけた若者たちであった。しかし、その一方で、ナチス・ドイツにおいて人々を扇動するために活用されたのも、またメディアだったのである。このように、情報とコミュニケーションの媒体としてのメディアには有用性と危うさ、二つの側面が備わっている。そして、それらは一つのコインの裏表の関係なのである。よって、メディアを利用するにあたっては、「公共性」に配慮した行動、あるいは、それに照らしてメディアを吟味する姿勢が不可欠となる。この点で、論じられる主題は「社会思想史Ⅰ」の内容と連動している。
 本講義では議論の端緒として「正義」を採り上げる。この問題は、我が国で多くの話題を呼んだサンデルの白熱教室のテーマでもあった。彼の「正義論」は公共哲学の正統な系譜上にある。だが、この正義という言葉は、「正義のための戦争」といったプロパガンダに用いられることによって、どことなく疑わしいものとしても見られるようにもなっている。よって、まず、このような意味での「正義」と、それに突き動かされる「大衆」の危うさが視野に入れられた上で、本講義は進められていくことになる。
テキスト
 講義中に参考資料を配付する。
参考文献・課題図書
 参考資料でその都度指示する。
受講生への要望
 講義内容は、前期「社会思想史Ⅰ」と連続性があるが、履修しなかった諸君でもついてこれるように配慮する。ただし、前期と併せて履修することが望ましい。受講態度としては、講義内容を自分の経験に引きつけ、つねに具体的に思考していく姿勢を求める。
評価方法
 受講態度、出席状況、期末レポートから総合的に評価する。
授業計画
1.授業全体のガイダンス―20世紀における社会思想
2.メディアの影響力について考える(1)
3.メディアの影響力について考える(2)
4.正義について考える(1)「正義」に対する不信感
5.正義について考える(2)「正義」とは強者の論理か?
6.正義について考える(3)「正義」とはイデオロギーか?
7.大衆について考える(1)大衆社会の出現
8.大衆について考える(2)ル・ボン『群衆心理』など
9.大衆について考える(3)リップマン『世論』
10.公衆について考える(1)タルド『世論と群集』など
11.公衆について考える(2)デューイ『民主主義と教育』
12.公共哲学からのアプローチ(1)
13.公共哲学の展開からのアプローチ(2)
14.現代における思想的展望
15.予備日および総括
自由記述欄
 

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