社会文化学専攻(博士後期課程)
社会文化学専攻博士後期課程では、家族・民族・国家・国際社会を人間行為の総合的な諸関係の連関構造として把握するとともに、諸社会の文化の中枢をなす思想、宗教、言語等を比較的・総合的に理解することを通して、新たな「知」の構築を目指す。また本課程は、人文科学、社会科学、行動科学、フィールド科学の諸理論と諸方法を統合し、学際的研究教育を行うことを目標とする。
本課程では、博士前期課程での研究2領域「社会システム研究」と「比較文化研究」を総合し、相互に緊密な交流をもちながら学際的視点に立ちつつ、より専門的な研究指導を行う。すなわち一方では、個人・家族・社会のシステム連関を総合的に理解したうえで、特定の次元における固有のテーマを掘り下げる。社会学、社会心理学、民族誌学等の方法論と研究成果を統合した学際的視座に立ち、高齢化やジェンダー現象への関心の高まり、グローバル化等、世界規模で生起している社会文化現象に対して問題発見的で挑戦的な研究を推進する。
また他方では、変動する現代世界にふさわしい新しい文化理論を模索しつつ、国際交流・異文化交流活動における国家間・国民間・個人間の相互理解、現代社会のさまざまな地域・要因・レヴェルでの文化摩擦の解消、情報交換の円滑化、人物の交流の促進を目的とした研究を行う。諸地域の文化を思想・講演会も行われており、最先端の研究内容や、博士論文執筆の具体的な方法についての知識を提供するなど、さまざまな面で各自の研究を推進する役目を果たしている。なお、博士論文の執筆に向けては、「社会文化学論文演習」が用意されており、各自の指導教員による定期的な指導・助言が保証されている。こうしたカリキュラムの成果を踏まえ、本専攻では設置以来、優秀な博士論文が提出されており、修了生は、大学の教員として活躍している。宗教・言語などの多様な面から比較・統合の方法で考察し、また歴史的・地理風土的に特徴づけられた人間社会の文化を実証的に研究し、現代における文化の複雑な諸相を探るとともに、その交差・交流・混交の動態に焦点を当てる。
さらに本課程では、総体としての社会文化に対して学際的に接近し、その構造と動態を十分に理解する能力を身につけた研究・教育者、および広く人間の相互理解や国際交流に寄与する専門的職業人の育成を目指す。
社会文化学専攻サイト研究分野・領域
社会システム研究
家族、人間関係、社会適応、社会福祉、国際社会など、現代社会で生じているさまざまな現象や問題点を、社会学、社会心理学、法学などの視点から総合的かつ構造的に考察する。
比較文化研究
世界の国々、諸地域の思想、言語、風俗、習慣など、社会・文化の主体である人間の活動について、文化人類学、言語文化論、コミュニケーション論、比較思想論などの視点から考えていく。
授業は、講義、文献講読を重視しつつも、調査実習、データ解析、プレゼンテーション、討論などの要素を多く盛り込んだ実践的、実習的な形式で行われる。
博士論文の指導は、指導教員1名、副指導教員1名を配した複数指導体制で行い、幅広い視点を培う一方、徹底した個人指導によって個々の学生の問題意識をより深く掘り下げていく。
なお、本課程では「専門社会調査士」の資格を取得するために必要なカリキュラムを用意している。「専門社会調査士」は「社会調査士」の上位資格で、本課程所定の単位を修得し、適切なデータを用いた論文(修士論文でも可)を提出することによって、社会調査士資格認定機構から認定される。
また、首都圏宗教単位互換による委託聴講制度にも加入している。
専任教員の研究領域
社会システム研究領域

大槻 奈巳 教授
専門は職業社会学、労働とジェンダー。女性と男性の働き方やキャリア形成の格差をジェンダーの視点から研究し、職場重視モデルから考察している。近年の研究テーマは、若年層の管理職志向とその変化、育児休業や短時間勤務と人事評価について、雇用管理区分と転勤の必要性などである。

木戸 功 教授
専門は家族社会学、質的研究法。現代社会において家族が形成され維持される過程とそこでの人びとの活動や実践のあり方に関心をもつ。現在は日本家族社会学会による全国家族調査(質的調査)にも携わっている。

小城 英子 教授
専門は社会心理学、特にマス・コミュニケーション。災害や犯罪、ファン心理、不思議現象など、フィールドの問題を切り口に、マス・メディアの社会的影響を研究している。

菅原 健介 教授
専門は社会心理学。「他者の目に映る自己」への意識と対人行動や対人感情との関係が研究テーマである。特に個人の社会的行動を制御する「羞恥心」という心のシステムに関心をもっている。その他、被服行動、外見意識と年齢、迷惑行為などについても研究を行っている。

松浦 聖子 准教授
民法、特に契約責任と不法行為責任の接近という問題状況を出発点とし、両責任の区別、そして契約の拘束力とは何を意味するのかをテーマにしている。
開講科目
シラバス検索システムサイト博士論文題目
年度(修了生) | 題目 |
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2017(平成29)年度 | |
2009(平成21)年度 |