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史学専攻(修士課程)

本専攻では、歴史的事実をより深く探究するとともに、現代社会におけるさまざまな問題を歴史的観点から考え、解決していく能力の育成をめざしている。
本専攻は、以下の【日本史】【東洋史】【西洋史】の3コースから構成される。

委託聴講制度
この制度は、大学院史学専攻特別聴講学生・委託聴講生に関する協定に基づくもので、学生が研究上の必要により、本大学院と協定を締結した大学院の講義科目を履修しようとする場合に協定校に委託される聴講制度である。協定大学は東京女子大学、日本女子大学。単位の認定は10単位以内である。

研究分野・領域

日本史コース

古代から近現代にいたるまでの各時代について、専任教員と学外から迎える兼任教員とによって、多彩な内容をもつ授業が開講されている。大学院生はみずからの問題関心にしたがい、これらの授業を通じて幅広くかつ専門的な指導を受けると同時に、原史料の読解能力や先行研究を的確に把握・整理する力を身につけ、指導教員の助言のもとで修士論文の作成にあたることとなる。近年の修士論文のテーマには、「古代寺院資財帳の構成とその変遷」「慈円の仏法興隆活動」「近世における江戸幕府将軍家と大名家間の刀剣贈答」「党薩諸隊と西南戦争」などがある。

東洋史コース

東洋史は東アジアと西アジアの分野に大別されるが、本専攻が現在対象としているのは西アジア分野が中心となる。演習では、受講生の専門や関心に留意しながらイスラーム史に関わるテキストを選んで講読するとともに、修士論文の執筆の指導を行う。近年の修士論文のテーマには、「インド洋海域世界における15世紀の構造変化とマラッカの興隆」のほか、「19世紀寧波におけるミッションスクールと女性―メアリー・アン・アルダーシーの教育活動を中心に―」「清末の『点石斎画報』にみる外国観」「中国における医療保険制度の現状と課題 ―ハルビン市を例に―」「初唐宰相への道」といった東アジア分野のものもある。

西洋史コース

時代的には中世・近世から近現代、地域的にはフランス、オランダ、ドイツ、オーストリア及び東欧をカバーする3名の専任教員がそれぞれ演習を開講し、受講生の多様な研究関心に応えうる態勢を整えている。近年の修士論文では、「Jean Gersonの民衆説教における『ルカによる福音書』の役割」「14世紀フランスの聖人像」「近世イギリス貴族社会における兄弟関係」「近代ドイツの軍隊と将校団」といったテーマが取り上げられた。大学院生には、専門的な文献の購読を通じて、各自の専攻地域の言語や古典語を習得することが求められる。修士論文執筆にあたっては、指導教員はもちろん、それ以外の教員からも懇切な指導や助言を得ることができる。

専任教員の研究領域

日本史コース

日本中世史専攻。専門は中世後期(室町時代)の政治史で、なかでも将軍(室町幕府)と天皇(朝廷)の関係(公武関係論)に関心を持ち、武士である足利将軍家家長があたかも公家のように朝廷社会で活動することの歴史的意味を考究している。

日本古代史専攻。奈良・平安時代の官司(役所)で行われていた人事や政務運営の特徴、日本史の中で平安時代前期(9世紀)をどのように位置づけるかなどについて研究している。

芹口 真結子

日本近世史専攻。近世宗教史について研究している。とくに近世の浄土真宗を対象として、仏教教団の教化活動や、教団間の論争をめぐる政治交渉のありよう、幕藩領主の対応、地域社旗への影響などについて分析を進めている。

日本近現代史専攻。とくに戦争や災害が社会に与えた影響、首都圏の歴史、土木の歴史について、政治、社会、地域、国際関係、科学技術などの幅広い観点を取り入れながら研究している。

東洋史コース

西アジア近世史。とくにオスマン帝国のアジア側の辺境であったアナトリア南東部の社会構造と同地域におけるオスマン帝国の支配体制について研究している。

西洋史コース

フランス中世史、キリスト教史専攻。特に中世末期(13世紀から15世紀)フランス南部地方の教会史に関心をもち、目下、アヴィニョン司教座参事会の研究に取り組んでいる。

オランダ近世史専攻。とくに18 世紀の社会保障制度(救貧)について研究している。その活動実態の解明にくわえ、現在は貧民救済に関する社会的イメージや規範、制度改革の主張にも関心を抱いている。

ハプスブルク帝国史、ハンガリー近現代史専攻。とくに19世紀後半から第一次世界大戦にいたる時期の、外交と異文化交流、知識人、ユダヤ人問題に関心がある。

開講科目

シラバス検索システムサイト

委託聴講制度

この制度は大学院史学専攻特別聴講学生・委託聴講生に関する協定に基づくもので、学生が研究上の必要により、本大学院と協定を締結した下記の大学院の講義科目を履修しようとする場合に協定校に委託される聴講制度である。

協定大学名

  • 東京女子大学
  • 日本女子大学

単位の認定:10単位以内

修士論文題目

年度(修了生)題目
2023(令和5)年度
  • 陸軍大学校とその教育 ー昭和戦前期「参謀要務」講義ノートの分析と考察を中心にー
2022(令和4)年度
  • 19世紀寧波におけるミッションスクールと女性 ―メアリー・アン・アルダーシーの教育活動を中心に―
  • 検非違使別当と検非違使佐の職務と変遷
2021(令和3)年度
  • 古代寺院資財帳の構成とその変遷
2019(平成31)年度
  • 清末の『点石斎画報』にみる外国観
2018(平成30)年度
  • Jean Gersonの民衆説教における「ルカによる福音書」の役割
  • 党薩諸隊と西南戦争 ──明治十年地方状況の諸相──
  • 平安京における邸宅の伝領
2016(平成28)年度
  • 金沢藩の家中儀礼 ――金沢城二ノ丸御殿における格式を中心に――
  • 近世における江戸幕府将軍家と大名家間の刀剣贈答
2014(平成26)年度
  • 音楽家パウル・ヒンデミットの亡命をめぐって
  • 中国における医療保険制度の現状と課題 ―ハルビン市を例に―
  • 徳川将軍家の「側室」における呼称と格式
2013(平成25)年度
  • 慈円の仏法興隆活動 ―勧学講と諸法会をめぐって―
  • 寝殿造の成立過程 ―儀式・饗宴における廊・渡殿の機能と成立を中心として―
  • 大名家の献上品にみる幕藩関係 ―家督御礼を中心に―
2012(平成24)年度
  • 子供をめぐる近世都市江戸の福祉と自治 ―捨子と迷子の視点から―
  • 近代ドイツの軍隊と将校団 ―出身階層・選抜・教育制度を中心に―
  • ライバルそれとも協力者? ―エリザベス朝および初期ステュアート朝イングランドにおける貴族の家に生まれた兄弟の関係―
  • 『愚管抄』における鎌倉武士に対する見解
  • 米西戦争と日本
  • 大名家にみる芸能活動
  • 『時献上』に見える幕藩関係
2011(平成23)年度
  • 14世紀の聖人像 -北仏ブルターニュの聖人イヴ・エローリーの列聖調査書と列聖教書に見る-
  • 王朝時代の時刻環境
  • 初唐宰相への道
  • 林菫の政治的軌跡 -行政官僚から外交官僚へ-
  • 平安時代における節会 -天皇の出御状況を中心に-
2010(平成22)年度
  • 近世妖怪・怪異の一考察
  • 江戸幕府奏者番の勤務実態に関する一考察
2009(平成21)年度
  • 大正時代における三浦梧楼の政治活動
  • 軍人酒井鎬次の政治的生涯
  • 寺田寅彦の食生活 -学生時代を中心として-
2008(平成20)年度
  • 日本古代の臣下への諡号に関する一考
  • 『よしの冊子』における寛政改革
  • 16世紀初頭ウィーンの救貧制度改革 -Burgerspital を中心に-
  • 黒田清隆の政治活動 -黒田内閣成立まで-
2007(平成19)年度
  • 平安の桜 -南殿の桜と花宴を通して-
  • 白河院と高野山復興事業について
  • 排耶書についての研究 -通俗的排耶書を中心に-
  • 明治三七八年戦役における日本海軍の諜報活動