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東日本大震災から9年目に寄せて

聖心女子大学
学長 髙祖敏明

2011年3月11日の東日本大震災から今年で9年が経過しました。
以降も、日本の各地で様々な災害が起きています。
災害等でお亡くなりになられた方々に改めて哀悼の意を示すとともに、現在も不自由な生活を余儀なくされている方々へお見舞い申し上げます。

聖心女子大学では、これまで、学生や教職員を被災地に派遣し、復興支援活動を続けてまいりました。この間、現地にて多くの方々と交流させていただき、また多くを学ぶことができました。学生、教職員一同、深く感謝しております。

中でも特に大切だと感じるのは、互いが助け合う「共助の心」です。
災害が多発する日本列島に住む私たちにとって、いつ自分が被災しても不思議ではありません。「自助」や「公助」が限界に来たとき、誰かが必ず手を差し伸べてくれる―そんな他者への信頼感をみんなで共有できる社会を実現するため、次世代を担う若者たちの教育活動を推進していくことは、本学が担うべき使命の一つであると考えております。

これを実現する取り組みとして、本学では次の3つの活動を有機的に関連付けながら実施しております。

1.被災地域への復興支援活動
2017年度までは岩手県陸前高田市を拠点とし、仮設住宅等で不自由な生活を余儀なくされている子どもたちに、遊びや学びの場を提供してきました。
2018年度からは、そのノウハウも活かし、福島県南相馬市において地域の支援活動を行っております。2019年度は台風の被害を受けた地域での活動も実施しました。

2.災害や地域活性に関する授業
被災地での活動を単なる「お手伝い」に終わらせないために、被災地の現状や防災に関する知識を学ぶ授業科目「災害と人間」を設け、毎年、多くの学生が受講しています。これは本学の教員やゲスト講師がそれぞれの専門や立場から講義を行うもので、内容を更新しながら7年間継続されています。その他、地域コミュニティの課題解決プロジェクトを実施するプログラムや、ボランティア経験を振り返り、報告書にまとめる実習等を行っています。

3.チャリティ・デー
毎年、6月にチャリティ・デーを設け、学生、教職員、卒業生、姉妹校、大学設立母体の聖心会などが協力し、1年間の活動を報告するとともに、バザーを実施する会を催しています。千名ほどの参加者があり、その収益は被災地支援活動等を行う上での貴重な資金となっています。2020年度も6月27日(土)に実施される予定です。

以上のような活動を精力的に実施していくことで、学生や教職員の間で共助の大切さや、日本の社会が抱える課題等が自然に共有されています。こうした中、学生たち自身によってスタートした「聖心オーガニックコットンプロジェクト」も進行中です。現地の中心団体と協力し、学内でのコットン栽培などを通じて福島の復興を応援しています。

本件担当:聖心女子大学ミッション推進会議 災害復興支援専門部会

 

陸前高田市、川原祭り組への参加。伝統行事「うごく七夕」祭りの 継続のため、学生たちが山車を引き、掛け声でお囃子を盛り上げました。
台風19号で被災された宮城県丸森町での炊き出しのお手伝い。 寒風の中、ご家庭に配るお弁当を用意しています。
陸前高田市での「みちくさルーム」の一場面。仮設住宅などで十分に 遊べない子どもたちに自由な場所を提供する活動です。「だるまさんがころんだ!」