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聖心女子大学大学院人間科学専攻教育研究領域主催オンライン・セミナー開催報告

2021年2月24日、2016年から教育学科で実施しているスウェーデンにおけるスタディーツアーで毎年この時期にお世話になっているスウェーデン・クオリティーケアー(SQC)という研修機関の日本エリア・マネージャーのエーミル・オーストベリ氏に、「スウェーデンにおけるインクルーシブ教育の現状と課題」をテーマに、現地から日本語でご講演いただきました。
講演では、まず家族との時間を大切にするスウェーデンの人々の生活ぶりについて家庭や街の風景などスライド画像を使って紹介してくださいました。そして、大学院生が事前に尋ねた質問にしたがって、スウェーデンの就学前教育や初等中等教育におけるインクルーシブ教育の取り組み、教員、保護者や家族への支援について、制度や仕組みを詳しくご紹介いただくとともに、オーストベリ氏が実際にプリスクールや地域の特別支援センターを訪問して施設見学を行い、園長先生や職員にインタビューを行なっている動画を見せていただき、臨場感あふれるバーチャル・スタディーツアーを体験することができました。
教育学科の澤野由紀子教授の司会により、参加した本学の大学院生、学部生、卒業生や他機関の教育関係者を交えた質疑応答も活発に行われました。

<参加者の感想>
「子どもの育児だけでなく親の人生も大切」という言葉が強く印象に残りました。
日本では障害児の母親の育児ノイローゼや鬱、虐待、困窮などが多く、問題視されています。スウェーデンのような手厚い支援や保障があることの重要さと、日本においても普及する必要があると考えました。プリスクールにおいて、小さな問題行動については保護者に伝えないという点からも、子どもだけでなく保護者に対する尊重とケアの考えを感じました。また、先生の養成コース内だけでなく実習中においても、特別なサポートが必要な子に対してどのように対応したらよいかを学ぶ機会があるのは非常に有意義だと思います。生徒が怪我や喧嘩などのトラブルが発生しないように、先生方がチームとなって予防策を徹底することの責任と自覚を強く感じ、感動です。全体を通して、インクルーシブな考え方が社会の基盤としてあるからこその環境だと感じました。(聖心女子大学大学院博士前期課程1年)

難しいことですが、スウェーデンのように一人ひとりが自分の人生も充実させ、社会全体で子どもを育てる環境をつくることが今の日本には必要だと感じました。コロナ禍かつ、個人的には乳児を抱えているのでなかなか外出できない日々が続いています。今、子育てしている方々は家に籠らざるを得ない環境で日々個人で頑張っているのではないかと思います。今回オンラインという形でセミナーを開いて頂いたおかげで、このような環境でも学ぶことができ、また人と繋がることができて、大変有り難かったです。このような機会が増えることもスウェーデンのように自分の人生を充実させることに繋がるのではないかと感じました。(卒業生)

スウェーデン・クオリティーケアー(SQC)日本エリア・マネージャーのエーミル・オーストベリ氏
授業風景(2020年1月撮影)