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児童文化の継承と資料保存状況を学ぶ学外研修を実施

教育学科の「教育学演習3⑴L」(4年卒論ゼミ)では、9月6日に東大阪市にある「大阪府立中央図書館国際児童文学館」を訪ねました。この国際児童文学館は、児童文学や児童文化関連の歴史的資料を約70万点保存し、現在も広く収集を行っています。以前は独立した施設として万博記念公園内にありましたが、府の方針で現在は府立図書館に併設されています。本ゼミでは、教育学科の共通かつ基本的なテーマである「子ども」にかかわる歴史的資料に触れ、それぞれの卒業研究に生かすために、学外研修先としてこの文学館を訪れました。

まず施設の概要と活動状況及び歴史について説明を受け、さらに、収蔵資料を中心とした江戸時代から現代にいたる児童文学の歴史を学びました。その後、実際に地下書庫に足を運び、通常は公開していない所蔵資料を閲覧しました。なお、レクチャーと案内は、国際児童文学館と協同して研究や国際交流の仕事をしている「大阪国際児童文学振興財団」の総括専門員の方に行っていただきました。

書庫では明治から昭和にかけての児童図書の原書、戦時中の街頭紙芝居等々ここにしかない資料のほか、ゼミ生たちも読んできたマンガ雑誌なども見ました。「付録」として作られた冊子などもありました。簡単に処分されてしまいそうなものであっても歴史的な観点からすると貴重な資料であり、子ども研究には欠かせません。短い時間でしたが「子ども史」に直接触れるよい機会となりました。

(教育学科教授 木下ひさし)

【学生の感想から(抜粋)】
・普段一般の方は立ち入ることができない、地下書庫を見学させていただきました。日本を代表する児童文学や、わたしたちが小学生だった 頃に親しみ馴染んでいた本など、数多くの本が貯蔵されていたことが印象的でした。
・子どもたちの育ちを、近く遠く見守ってきた「児童文学」は、子ども達が作る「未来」を現す鏡であるように、国際児童文学館を見学しながら感じました。どんな本がトレンドで、どんな本を手に取りながら成長してきたのか、それは子どものみならず、人間そのものの足跡であり、これから先の道標ともなると感じます。
・児童書の歴史をたどる中で、絵本や漫画、紙芝居等様々な媒体がある事を知り、時代によってその需要も変化している事が分かりました。そのような中でどの時代においても変わらない事は、児童書が子ども達の心の栄養になっているという事だと思います。戦前、戦中、戦後と時代が流れ、内容が変わっても、子ども達のそばにあり続ける存在に変わりないのだと感じました。
・電子媒体での読書が普及している中、紙媒体の本を資料として保管する意義に関して、昔を研究することが今に繋がっているとお話されていて、戦争など過去の過ちを今後二度と繰り返さないためにも、研究の大切さや資料を集めることの重要性を理解することができました。

講師によるレクチャー
書庫での見学
少女マンガ雑誌の創刊号からの棚