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英語文化コミュニケーション学科生らが、新国立劇場で『東京ローズ』を鑑賞

12月15日(金)、渋谷区の新国立劇場で上演中のミュージカル『東京ローズ』の舞台を英語文化コミュニケーション学科の学生・大学院生有志13名が鑑賞しました。

2019年にイギリスで初演された本作は、アメリカ、ロサンゼルスに日系2世として生まれたアイバ・トグリという実在の女性の人生をもとに作られました。運命に翻弄され、第二次世界大戦後に国家反逆罪に問われながらも、誇りと希望を持ち続け、不当に奪われた国籍を取り戻すまでのアイバの姿を、6人の女性キャストがリレーで力強く演じています。

翻訳は、新国立劇場の演劇芸術監督である演出家・翻訳家の小川絵梨子さんがみずから担当。小川絵梨子さんは本学人間関係学科の卒業生、プロデューサーの茂木令子さんも本学日本語日本文学科の卒業生で、学生たちの訪問をたいへん喜んでくださいました。

(英語文化コミュニケーション学科 安達まみ 中川僚子)

【参加学生のコメント】
・「東京ローズ」の台詞は、翻訳とは思えないほどの自然な言葉使い、美しさとスピード感で私たち観客を舞台に巻き込み、言葉の持つ力が、直接私の胸に響いてきました。翻訳劇であることを忘れるほどのすばらしさでした。翻訳者である小川さんの、時代背景、事件の持つ重要性への深い理解、舞台をスタッフと作り上げていくエネルギー、とびぬけた英語力と知識の深さに感動しました。
・東京ローズを鑑賞して、歴史家E.H.カーが、私たちは常に「現在の眼」を通して歴史を見ていると言っていたことを思い出しました。2019年にイギリスで上演され、フェイクニュース、情報戦、ウクライナやガザの戦争など争いが絶えない中で、今日本で私たちが見ていることは興味深いです。
・アイバ自身がアメリカ人であるという確固たる意志、戦時下における複雑な感情、第二次世界大戦に対する多角的な歴史観について、ただ理解するというだけでなく、痛いほど共感することができました。言葉や演技によって舞台そのものが翻訳され、エネルギーに満ちた世界に引き込まれたのだと感じます。特に印象的だったのは、登場人物の言葉遣いの変化です。例えば、ラジオ局の同僚との会話では「君」等の代名詞が用いられ、おそらく英語で話しているのだと認識することができました。完全に自然な日本語に翻訳するのではなく、意味のある不自然さを加えることで、言葉以上の意味が伝わる点に感動しました。観劇前、稀有な人生を歩んだアイバと陪審員(観客)の間には大きな溝があるように感じていましたが、役者の方の細やかな感情表現によって、ぐっとアイバと近づいて、自分に誇りを持つという大切なメッセージを胸に刻むことができました。
・私自身、大学で日本のミュージカル作品の台本を英語に訳すという卒業制作に挑戦したので、今回の観劇で得た学びは翻訳があってこそ感じられたもので、改めて翻訳は人と人とをつなぐ架け橋であるということを実感しました。