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前・駐スウェーデン大使の廣木重之氏による特別講義を開催

2024年1月12日(金曜日)3限、宮代ホールにて、本学協力会副会長で前・駐スウェーデン大使の廣木重之氏による特別講義が行われました。この講義は「国際社会を生きる—女性が輝くスウェーデンから何を学ぶか」をテーマとし、「比較教育学2」(北欧の教育・生涯学習と社会)の授業の一環として行われましたが、英語文化コミュニケーション学科安達ゼミや教育学科澤野ゼミの学生、大学院生、教職員など合わせて約100人が参加しました。

講義ではまず廣木氏の自己紹介として、外務省の儀典長、駐アフガニスタン特命全権大使、ニューヨーク日本国総領事、駐南アフリカ特命全権大使等を歴任したことが紹介され、「外交」とはどのようなものなのか、お話くださいました。

本題のスウェーデンに関しては、豊富なデータや画像を用いて、様々な領域の国際比較において常にトップにランクインするスウェーデンにおける女性の社会進出の状況を、その背後にある充実した公的支援の制度の歴史的変遷とともにわかりやすくお示しくださいました。とくに学生の関心が高い子育て支援と教育制度については、女性の社会進出を支える条件として詳しく説明されました。

最後に、学生へのメッセージとして、長年の外交官としてのご経験にもとづき、真のコミュニケーションのあり方について貴重なご助言をいただきました。会場には、廣木前大使夫人の廣木麻美子・かすみがせき婦人会副会長のほか、ゲストとして綿引宏行・海外子女教育振興財団理事長と北川智子・JAXA(宇宙航空開発機構)宇宙教育センター所長もお越しくださり、綿引様と北川様からもグローバルな視点から学生へのエールとなるお言葉を頂戴しました。

参加学生からのコメントの中には、次のようなものがありました。
・スウェーデンで女性が活躍できている理由は200年以上中立国だったからということでした。平和がもたらす影響は、女性の社会進出にも及ぶのだとわかり、とても興味深いお話でした。
・「教育は一度授かると一生自分のものになり、誰も壊すことができない」という言葉が大変心に残っています。逆に言うと、教育がなければ何を手に入れても目を開くことができないということにもつながります。かけがえのない未来のために教育を大切にすることがどれだけ力があるか、再確認できました。
・ご講演のなかで男性の意識改革が必要だということを伺いましたが、私は女性の意識も変えていく必要があるのではないかと考えました。私がいる女子大という空間ではあまり感じられませんが、男女のそろうサークルや就活の場などでしばしば女性がリーダーなどの立場を遠慮してしまうことがあります。女性がさらに輝く社会であるためには、女性自身の自信や主張も必要なのだと思います。
・価値観や考え方は、それぞれの国の風土や人種、環境、政治的状況によって作られるものだと思います。それでもスウェーデンの方々の素晴らしい考え方や意識を私たちが取り入れることはできると思います。小さなことからでも、男性と女性が共に輝く社会の実現に向けて行動すれば、いずれ50年後、日本も少しは状況が変わっているはずです。中でも私は「限定しすぎないこと」を意識してこれからがんばっていきたいと思います。
・本日のお話で一番心に残ったことは、相手の存在を受け入れるということでした。コミュニケーションが成り立つためには、お互いが相手を受け入れる気持ちになることが必要であり、敵対していたらわからせようという気持ちもわいてこないと思います。様々な人の存在を受け入れ、良い関係を築き、良い付き合いをしていくためには、自分を尊重し、相手のことも尊重していくこともまた、大切なことであると気づくことができました。

 未来への考察の契機となる深い学びの機会を与えてくださいました廣木前大使とゲストのみなさまに、心より感謝申し上げます。

(教育学科 澤野由紀子)

特別講義の様子
参加者での集合写真