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学生らが大学史資料を読み解いた成果を旧久邇宮邸車寄「クニハウス」で展示
聖心女子大学アーカイブズでは、大学の歴史に関わる資料を保存・整理し、利活用できるようにすることをめざしています。そこで今回、アーカイブズが所蔵する資料を教材とし、学生と読み解く授業を行い、その成果を旧久邇宮邸車寄を活用した大学史展示施設「クニハウス」で展示する試みを行いました。
1年次生の基礎課程演習(大学での学びや研究の基礎を身につける授業)では、学生新聞『聖心ジャーナル』を手がかりに、1970年前後の日本について考えました。紙面では公害問題やオイルショックなど、当時社会問題となっていた出来事が取り上げられていました。また「女性と社会」という記事では、緒方貞子さん(のち国連難民高等弁務官。聖心女子大学1回生)が学生記者から取材を受け、女性の社会進出について意見を述べていました。
受講生からは、「約50年前の聖心生の視点で書かれた『聖心ジャーナル』をもとに、当時の社会の様子や時代背景を知ることができた。」「現在、当たり前と思われていることも、過去ではそうではなかったことに気づいた。」などの感想がありました。
大学院の史学専攻のゼミでは、初代学長マザーブリットが大学開学前の1947年にGHQ関係者に送った手紙を読み解きました。当時聖心女子学院では校舎の不足に悩んでいました。手紙からは、マザーブリットが連合国軍最高司令官であるマッカーサーの名前も出しながら、GHQ関係者と交渉し、校舎となる建物を千葉県から移築しようと試みていたことがわかりました。マザーブリットが優れた交渉力を持っていたことについては、緒方貞子さんも後に回想しています。
手紙からGHQとの交渉の様子を読み取った受講生からは、「マザーブリットの学校設立のための努力や、修道女・教育者とは別の一面を見ることができて大変興味深かった。」などの感想がありました。
(史学科教授 土田宏成)