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困難な状況におかれた人々の声を聞き 社会に問いを発信し続ける

  • 日本語日本文学科

古川 幹子 Mikiko Furukawa

2016年度卒業

「難民問題を扱う授業を作らせてください」
古川幹子さんが、そう言って学長に直談判したのは大学3年次の時だ。国連難民高等弁務官を務めた故緒方貞子氏が卒業生であり、難民支援を行う学生団体SHRET※もあって自分はその代表なのに、なぜ、多くの学生に「難民問題」への関心を持ってもらえていないのか。もどかしさを胸に向かった学長室では、ノンアポイントメントにも関わらず、古川さんたちの訴えに学長はうなずきながら真摯に耳を傾けてくれた。

難民問題に取り組んだ経験が マスコミ業界へ進む原点に

結局のところ、古川さんたちの熱い思いは次の年に形になった。新設された授業では、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の代表や日本在住の難民による講演などを行い、大勢の学生が受講した。
古川さんが難民問題について興味を抱いたのは高校時代。SHRETの学生の講演を聞いたからだった。
「罪を犯したわけでもないのに、宗教や性差、政治思想を理由に祖国を追われる人がいる事実や、日本にも多くの難民が滞在していることに驚きました」
大学入学後、古川さんはSHRETに所属。難民問題を啓発する出張授業や、外国人への日本語ボランティアなどの活動に従事した。2年次には教授とSHRETのメンバーでスイスへのスタディーツアーに行った。

「重大事件・事故発生の一報を入手すると、必ず現場に向かい取材します。現場周辺で目撃者や周辺に住む人々へのインタビューを行うほか、警察に容疑者や被害者、事件・事故の発生状況を取材。情報をできる限り集めてニュース原稿を執筆するのが仕事です」

「UNHCR本部や国際移住機関、それに国際機関日本政府代表部など、毎日異なる国際機関を訪問し、国際会議にも参加しました。国際機関で働く人々から何か得るため質問を考え、連日早朝から深夜まで準備をするのは本当に大変でした。しかし、難民問題の前線に立つプロの仕事を見ることで視野が広がり、“難民を助けたい“という思いをより一層強くしました」
日本語に不慣れな難民にも分かりやすい言葉でニュースを伝え、彼らの生活を支えたい。SHRETの経験が、古川さんがマスメディアで働く原点となった。

『報道』の意義を問いながら 地道な取材を積み重ねてゆく

「取材を拒否されることもあります。事件・事故で悲しみに暮れる被害者や関係者にカメラを向ける時、『報道』とは何だろうと疑問に思い、立ち止まってしまうことも」

現在は日本放送協会(NHK)大津放送局放送部で記者として活躍する古川さん。入社1年目は警察司法担当、2年目はキャップとして多くの事件・事故を取材した。
事件・事故の現場はさまざまな人や情報で錯綜している。そんな中であっても、物理的な証拠や目撃した人の証言などを探す。事件・事故の原因を詳細に明らかにするため、どんな小さなことも見逃さず、地道な取材で事実を積み上げていく。

思い悩むたびに、古川さんは「自分が発信していかなければ」と言い聞かせている。同じような事件・事故が二度とおきないよう、社会全体で解決策を探っていかなければならないからだ。事件・事故を風化させないために、切り口を変えて発信し続けることもマスメディアの重要な責務だと考えている。古川さんのライフワークは難民問題。報道を通して、難民への世間の関心を高めることが願いだ。

  • 日本語日本文学科
古川 幹子 Mikiko Furukawa
2016年度卒業

日本放送協会(NHK)大津放送局
放送部 記者
日本語日本文学科 2017年3月卒業
※SHRET(シュレット)…Sacred Heart Refugee Education Trust
元国連難民高等弁務官で本学卒業生でもある故緒方貞子氏が設立した難民教育基金(現在RET International)の活動を支援するとともに、難民の子どもたちに対する中・高等教育の重要性を訴えるというビジョンのもと活動する学生団体
※所属・肩書きを含む記事内容は、インタビュー当時(2020年)のものです。

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