形式ではなく心の重要性に 気付いた卒業論文
内村鑑三は、結婚式は「祈りの場」であるとし、形式にとらわれることに異を唱えた。
「現代の結婚式は、華やかなものから安価なものまで、多様化しています。しかし、根底にある心は変わりません。結婚式では式場の選択、テーブルセッティングなど、全てにおいて新郎新婦の意思を反映しますが、形式にこだわっているのではないのです。それは、ゲストに喜んでほしいという、『人のため』を思う心の表れなのです」
日本の良さを再発見した授業が 就職への契機になる
新村さんが勤務する星野リゾートでは「日本再発見」をテーマにし、宿泊を通して日本の良さをお客様に伝えることを目的としている。新村さんもそのテーマに心惹かれ就職した。
現在、新村さんが担当するスパでも、ホテル周辺の土地特有の植物などを施術に取り入れている。日常の業務が終わった後に土地について勉強し、企画を練る。お客様の満足度を高める取り組みには終わりがない。
新村さんが日本の良さを再発見したのは、聖心女子大学で源氏物語について学ぶ授業だった。主人公の光源氏の、女性の気持ちをこまやかにくみ取る姿や困難に立ち向かい乗り越えていく姿に、日本人の深い心を感じた。
見返りを求めるのではなく ただ、人の幸福に寄与する
ある時、新村さんはホテルでプロポーズをしたいというお客様の予約を受ける。
「同僚にサプライズのアイデアを募り、お客様にオリジナルプランを提案しました。プロポーズが成功して笑顔のお客様をお見送りした時には、やりがいを感じました。人生の節目に立ち会えて本当に光栄でした」
学生時代は率先して幹事を引き受けるタイプで、人を喜ばせることが大好きだった。人々が喜びや幸せを分かち合う特別な場を盛り上げたい。その思いから、ホテル業界に進んだ。幸せそうな姿を見れば満足で、感謝の言葉などの見返りは求めていないと新村さんは言う。
- 哲学科
株式会社星野リゾート
星のや軽井沢 スパ
哲学科 2013年3月卒業
※ 所属・肩書きを含む記事内容は、インタビュー当時(2019年)のものです。