研究テーマの内容、研究活動
私は、ダンス教育を出発点として、学校体育科教育と大学体育のつながりを意識しながら研究を進めております。はじめは、日本と韓国のナショナルカリキュラムを比較し、ダンスが教育の中でどのように位置づけられ、どのような内容が求められてきたのかを明らかにしてきました。さらに、ダンスを「どのように教えるか」という実践的な課題にも取り組んできました。
その後、関心は大学生の学びへと広がり、近年では、大学における教養体育の全国的な実施状況や、大学体育システムの比較研究にも携わり、大学体育をより広い視野から捉えています。現在は、こうした研究の流れを踏まえ、ダンスリテラシーを身につけた大学生の育成をめざし、総合的な大学体育授業の計画と実践に取り組んでいます。
特に関心をもっているのは、体育やスポーツを単なる「運動の機会」として捉えるのではなく、学生一人ひとりが自分の身体と向き合い、他者と関わりながら、生涯にわたって豊かに生きる力を育む学びとして位置づけることです。運動が得意でない学生にとっても、大学体育が身近で意味のある学びの場となるよう、心理的安全性や参加しやすさに配慮した授業づくりを大切にしています。
また、フィジカルリテラシーやダンスリテラシーにも関心をもっています。身体を動かす力だけでなく、自分の身体を理解し、状況に応じて活用し、表現し、他者とつながる力を育むことは、これからの社会を生きる学生にとって重要だと考えています。とりわけダンスは、身体表現を通して自己理解や他者理解を深めることができる、教育的可能性の大きい領域だと感じています。
私にとって研究とは、現場の教育実践と切り離されたものではありません。学生たちの姿から学び、授業の中で生まれる問いを研究につなげ、その成果を再び教育に還元していくことを大切にしています。これからも、学生一人ひとりの心と身体、そして生涯にわたる学びを支える教育のあり方を探究していきたいと考えています。
研究テーマの意義・面白さ
私の研究は、身体活動教育を通して、学生が自分の身体と向き合い、他者と関わりながら、生涯にわたって豊かに生きる力を育むことを目指しています。その意義は、運動が得意な学生だけでなく、多様な学生が安心して参加できる学びの場をつくろうとしている点にあります。
この研究テーマの面白さは、身体活動を単なる「運動」としてではなく、「表現」や「文化」として捉えられるところにあります。とりわけダンスは、人間が生まれてから自然に示す身体表現とも深く関わっており、「人は踊る存在である」という視点から考えることができます。また、踊る文化は、言葉が十分に整う以前から人間の営みの中に存在し、時代や社会の変化とともに形を変えながら受け継がれてきました。そうしたダンスの根源的なおもしろさや、時代によって変化していく文化としての豊かさを、学生と一緒に学び、考えていけることに大きな魅力を感じています。
さらに、授業の中で学生が少しずつ自分らしく身体を使い、表現し、他者とつながっていく姿に立ち会えることも、この研究ならではの面白さです。研究と教育実践を往還しながら、学生の気づきや変化を授業改善につなげていけるところにも、大きなやりがいを感じています。